リドカイン 7 m とデキサメタゾン 3.3 mg による腕神経叢ブロック斜角筋間法


末梢神経周囲に局所麻酔薬を投与する麻酔法で、伝達麻酔とも呼ばれます。脊柱管内の脊髄から出た脊髄神経(末梢神経)は四肢や体幹に枝分かれしていきます。手術部位に合わせた神経支配を考慮し、目的とする末梢神経本幹や神経叢(解剖学的に名前の付いた太い神経やその束)の周囲に行います。局所浸潤麻酔と異なり、ブロックされた神経より末端の神経支配領域全域が麻痺するため、より確実で強力な鎮痛方法と言えます。ブロック範囲は最低限に留められるため基本的に呼吸や循環への影響はなく、運動機能制限も限定的です。また抗凝固薬や抗血小板薬を服用していても施行可能な点(傍脊椎や腹腔神経叢などの体内深部を除く)が硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔と異なります。上肢の手術ではブロック単独で行われることもありますが、複数のブロックを組み合わせたり、全身麻酔と併用されることは少なくありません。


ロピバカインによる腕神経叢ブロックを受ける小児患者において、デキサメタゾン添加の有無による局所麻酔薬の疼痛持続効果の比較について

末梢神経ブロックには実はさまざまな方法があります。痛みの緩和、交感神経ブロックによる血流改善のために行うなど、手術以外にペインクリニック領域でも行われます。手術時は局所麻酔薬を使用しますが、慢性痛に対する治療では熱凝固法や神経破壊薬なども使われます。ペインクリニックでは、胸背部の帯状疱疹後神経痛や肋間神経痛では肋間神経ブロック、肩関節周囲炎では腕神経叢ブロック、顔面神経麻痺に対する星状神経節ブロックなどが行われます。手術麻酔では、上肢や肩の手術では腕神経叢ブロック、下肢の手術では大腿神経ブロックや坐骨神経ブロック、腹部には腹横筋膜面ブロックや腰方形筋ブロック、腹直筋鞘ブロック、胸部では肋間神経ブロックやPECSブロックなどさまざまな方法が行われています。また、経尿道的膀胱切除術(TUR-Bt)では術中の電気刺激による大腿の内転を防ぐために脊髄くも膜下麻酔の上、閉鎖神経ブロックを追加することがあります(この場合鎮痛目的ではなく運動神経麻痺による不動目的)。

4)末梢神経刺激装置
末梢神経を電気刺激しながら針を進めていき、針が神経の近傍に到達するとその神経が支配している筋肉の収縮が起こります。その部位で薬液を注入します。最近では前述の超音波エコー装置と併用して行うのが一般的です。

鏡視下肩腱板修復術後における腕神経叢ブロックの効果時間に対するデキサメサゾンの影響について検討する. ..

首から肩、腕、手に向かって神経が走行していますが、首と肩の間に神経が束になっているところ(腕神経叢)があります。
超音波診断装置(エコー)を用いて、その束のところに局所麻酔薬やステロイド(炎症止め)を注入することにより、首・肩・腕・手などの痛みを鎮める治療法です。
ブロック後、腕が痺れたり、完全に動かなくなることもありますが、30分ほど経過すると自然と回復しますので心配はいりません。
腕が動かないときは三角巾で腕を支えて、お帰りいただくこともあります。

末梢神経ブロック処置時の感覚異常のサインと神経損傷の関係性が高いことがわかっているため、処置中に患者さんの感覚異常に気づけるよう意識下もしくは軽度の鎮静下で行われます。穿刺方法には解剖学的ランドマーク法(目印となる骨や動脈、筋肉等を触知して探す方法)、電気刺激法、エコーガイド法などがあります。エコーガイド法ではブロックの成功率や鎮痛効果が上がり、処置時間が短縮すると言われています。

斜角筋アプローチ腕神経叢ブロック ………………………………………… 140

エコーガイド下神経ブロックとは、神経、およびその周囲の血管、骨、筋肉などの組織をリアルタイムに描出するエコー(超音波)画像で逐一確認しながら行うブロックのことです。血管や注射針の動きを透視下に直接監視しながら、適切な刺入ポイントに正確に薬液を注入することができるため、従来のように手応えと勘だけが頼りだった、盲目的な方法よりもずっと安全に行え、効果も確実です。この方法なら、手技に伴う患者さんの痛みは少なくて済みます。


エコーで針先を描出しながら目的の神経周囲まで針を進めた後、シリンジの吸引試験で血液や髄液の逆流などがないことを確認し、局所麻酔薬を注入していきます。注入時に抵抗がある場合、神経内注入になっていることがあるので抵抗がない場所に針先を移動し直してから注入します。局所麻酔薬は15-30mL程度必要です。術後長時間の鎮痛目的にカテーテルを留置して、持続注入を行うこともあります。

[P01-28-01] 肩関節鏡下手術周術期の腕神経叢ブロックの効果に関連する患者要因の検討 ..

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・本無作為化二重盲式プラセボ対照試験では、肩手術に際して斜角筋間腕神経叢ブロックと同時に投与したデキサメタゾンを神経周囲と静脈内とで効果を比較した。

・患者は、ブロック注入時にロピバカインと混合したデキサメタゾン 8mg(N=42)、ブロックの時にデキサメタゾン 8 mg を静脈内投与(N=37)するか、または静脈内に生食(N=41)を投与した。

・神経周囲と静脈内デキサメタゾンは、ブロックの平均(SD)持続時間を、生食群の 13.8(3.8)時間と比較して、それぞれ、16??.9(5.2)時間と 18.2(6.4)時間に延長する結果となった(P=0.001)。麻酔回復室到着後 24 時間の間の平均(??SD)オピオイド消費(モルヒネ相当)は、神経周囲デキサメタゾンで 12.2(9.3)mg、静脈内デキサメタゾンで 17.1(15.??9)mg、生食群で 24.1(14.3)mg であった(P=0.001)。いずれかの経路を介したデキサメタゾンも、制吐剤の使用を減少させた(p=0.046)。患者満足度には影響しなかった。

・これらの結果から、神経周囲と静脈内デキサメタゾンの両方が、ロピバカイン斜角筋間ブロックに有用な補助剤でおり、デキサメタゾンの神経毒性の可能性を回避できることから静脈内経路が好ましいことを示唆している。

四肢のブロックの例として腕神経叢ブロック(図1)、体幹ブロックは腹横筋膜面ブロック(図2)を例示します。


鎖骨上アプローチ腕神経叢ブロックに対する横隔神経麻痺の発生頻度に対する後ろ向き調査

頚椎からでた神経が腕に向かう途中でちょうど鎖骨より2㎝上あたりの位置に腕神経叢という神経の集まりを形成します。その腕神経叢に局所麻酔薬とステロイドを注射するのが腕神経叢ブロックです。上肢の痛みの疾患、例えば頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症性神経根症、上肢の帯状疱疹関連痛などに対して行います。当クリニックでは透視下あるいは超音波ガイドに行っています。

[PDF] p016-104 治療指針6版 第02章.indd

開胸手術は肋骨や肋間筋の剥離によって術後に激しい痛みが生じることが多い。術後の不十分な鎮痛は回復を妨げ、無効な呼吸や分泌物の排出、離床の遅れによって無気肺や肺炎、血栓症のような合併症を引き起こすリスクを上昇させる可能性がある。開胸術後の急性疼痛を効果的に管理することで、これらの合併症を防いだり、慢性疼痛を発症する可能性を減らすことができるかもしれない。このレビューは、待機的開胸術を受けた成人における胸部硬膜外麻酔、傍脊椎ブロックの2つの局所的鎮痛法を比較している。関連するコクラン臨床回答:

第6回 末梢神経ブロック(伝達麻酔)|適応、方法、合併症・副作用


斜角筋間アプローチでは前斜角筋と中斜角筋の間に出てくる頸髄神経周囲に薬液を注入します。
このアプローチ法では第5頸髄から第1胸髄神経領域まで鎮痛効果が得られるため、鎖骨遠位、肩、上腕手術に適しています。より下部の脊髄神経支配領域である肘や手首、手指の手術では腋窩からのアプローチが有効です。

[PDF] 第 1 章 神経ブロックに関する クリニカル・クエスチョン

硬膜外麻酔と組み合わせた全身麻酔は臨床的な転帰に有益な効果をもたらす可能性がある。しかし、心臓外科手術における硬膜外麻酔の使用は術中に必要な全身ヘパリン投与による、硬膜外血腫のリスクが理論的に増加することから議論の余地がある。このレビューは人工心肺を使用する、もしくは使用しない心臓手術を受けた成人において、周術期の硬膜外麻酔が周術期の死亡と心臓、肺、神経学的合併症に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。関連するコクラン臨床回答:

は,頸部神経根痛とその関連痛を施行直後および施行後 7 日の時点で有意に軽減

ブロックされる領域が限定されるため基本的に循環や呼吸への影響はありません。腕神経叢ブロック(特に斜角筋間アプローチ)ではブロック側の横隔神経麻痺は必発しますので高齢者や呼吸状態の悪い患者さんでは注意が必要です。

は、(Waldron 2013、Henzi 2000)にはっきりと記載

神経ブロックの意義は、「知覚神経ブロックによる除痛効果」、「交感神経ブロックによる血行改善効果」、そしてこれらの作用に基づく「痛みの悪循環を遮断する効果」にあります。 神経ブロックの効果は、病変部位に限局して発揮できる点も特徴的です。また、痛みを起こしている神経を遮断することにより痛みが本当に軽減するかを確認することにより、その神経が痛みの発生に関与しているか否かを判定するための診断的ブロックとしての役割もあります。

直腸がんなどによる会陰部の痛みのある患者に対して,サドルブロック,上下腹神経叢ブロックなどの神経ブロックを行う。


施行時は清潔野の医師の指示でエコーや神経刺激装置の操作、局所麻酔薬の注入など依頼されることがあるかもしれません。末梢神経ブロックの効果や合併症の知識に加え、処置自体の勉強もある程度行っておくといざというときに安全かつスムーズな介助が可能になります。処置中は、エコー画面や処置に医師は集中しているため、患者さんの監視は看護師に委ねられます。基本的に患者さんは意識がある状態ですので、処置の状況や今後の流れなどを説明しながら不安軽減に努め、会話の中で意識状態や表情の変化など局所麻酔薬中毒の初期症状にも注意しながら看視をします。医師も処置をしながら患者さんの感覚異常の有無を確認しますが、何かあれば伝えてもらうよう事前に患者さんに説明しておきましょう。

く,手技に要する時間が短く,局所麻酔薬の量を少なくできることが報告さ

脳から出た脊髄は、首から腰にいたる脊柱管の中を貫いています。脊髄は、くも膜と硬くて丈夫な硬膜に包まれ、保護されています。硬膜外ブロックとは、局所麻酔薬やステロイドをこの硬膜外側の「硬膜外腔」という空間に注入することによって脊髄神経や交感神経の血流を改善し、痛みを緩和させる治療法です。ペインクリニックで最もよく行われるブロック治療の一つと言えます。首から足までの痛みにたいへん効果の高い治療法で、多種多様な疾患が対象になります。注射をする場所に応じて、それぞれ頸部、胸部、腰部、仙骨部硬膜外ブロックと呼ばれます。頸部に関しては胸椎1/2からアプローチする経椎間孔硬膜外ブロックも行っております。胸椎から行うことで合併症のリスクも軽減でき、高い効果も期待できます。当クリニックでは、この硬膜外ブロックを「透視下」で実施しております。レントゲン透視下ならば視覚的サポートが得られるので、短時間に、しかも安全に、正確に行えます。

日本語 腕神経叢ブロック後から疼痛を訴えるまでの時間

静脈内自己調節鎮痛法(IVPCA)と硬膜外麻酔(持続的もしくは自己調節法を使用)は腹腔内手術後の一般的な鎮痛法である。リスクと利点を比較する試みがいくつか行われているにも関わらず、これらの最適な鎮痛法は依然検討中である。このレビューは、硬膜外麻酔とIVPCAの両方を比較し評価している。関連するコクラン臨床回答:

日本語 腕神経叢ブロックを受ける小児患者


局所麻酔薬の使用量が多くなるため、他の局所麻酔法に比べ中毒の発生に注意しなければなりません。薬の極量の把握はもちろんのこと、皆さんが医師に薬液注入を頼まれた場合、血管内注入を避けるため必ず注入前ごとに血液が引けないか吸引確認し、その旨を医師に伝えてから毎回注入しましょう。術後回復室で急に興奮しだしたり、口唇の痺れの訴えが出たら、即座に局所麻酔薬中毒を疑うくらい警戒して接していきたいものです。四肢のブロック後、多くの場合には痺れや感覚鈍麻、筋力低下が残っている状態で手術室から病棟に申し送ることになります。麻酔以外にも手術操作やターニケット(四肢を血圧の2倍以上の圧で駆血して出血しない状態で手術を行えるようにする器具)による影響かもしれませんが、術後経過を慎重に見ていくよう継続看護の視点は重要です。

全身麻酔からの術後回復は多面的なプロセスであり…

一過性腸管麻痺、悪心、嘔吐、疼痛は腹部手術後の重大な臨床問題である。術後イレウスを予防または減らしつつ、術後の疼痛や悪心嘔吐を減らす麻酔・鎮痛の方法は、術後の合併症や入院期間、そして病院のコストを減少させる可能性がある。このレビューでは術後の局所麻酔を併用した硬膜外麻酔と、術後の全身性もしくは硬膜外オピオイドの効果を比較している。関連するコクラン臨床回答:

脊髄圧迫症候群,腕神経叢浸潤症候群,腰仙部神経叢 ..

今回は,腕神経叢ブロック時に投与する局所麻酔薬にステロイドを添加することで作用が延長する効果について紹介する。本稿のようにステロイドを加えることで,単回の腕神経叢ブロックの効果を延長させることができる。これまで深夜にブロック効果が切れていたものが翌朝まで効果が得られることになり,臨床上の有用性は高い。一方で,その作用機序は明らかではなく,神経障害など副作用が生じる危険性もある。筆者の施設では,ステロイドは全身投与に留め,局所麻酔薬への添加は行っていない。適応外使用であることも含め,本稿の内容を臨床で応用する際には,リスクとベネフィットについてよく検討していただきたい

鎖骨下腕神経叢ブロックにおける 0.25% ブピバカイン

硬膜外麻酔はオピオイドに基にした全身性の鎮痛と比較すると鎮痛効果がより高いと考えられているが、合併症や死亡に及ぼす影響は不明である。このレビューでは、待機的腹部大動脈手術を受けた成人に対する術後硬膜外鎮痛法の有益性と有害性を、オピオイドに基づく全身性鎮痛と比較して評価する。関連するコクラン臨床回答: