最後に、手術前に休薬すべきSGLT2阻害薬をリストにまとめました。
SGLT2阻害薬は前述のGLP-1受容体作動薬と並んで、所謂”やせ薬”と称されます。
[PDF] 糖尿病用薬(ビグアナイド製剤,SGLT2阻害薬)の術前休薬期間
周術期におけるストレスや絶食により、、手術が予定されている場合には、。術後、摂食が十分できるようになってから再開し、再開後はケトアシドーシスの症状に留意する
日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」においても、下記のように周術期の対応が追加されました(2020年12月25日改訂)。
[PDF] 手術・検査前に休薬を要する薬剤(内服薬)一覧(2024年7月現在)
腎機能障害を有する2型糖尿病患者に、本剤10mg又は25mgを1日1回52週間経口投与したプラセボ対照二重盲検比較試験を行った。
投与24週時のHbA1c(主要評価項目:NGSP値)の投与前値からの調整平均変化量について本剤10mgは軽度腎機能障害患者(eGFR60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満)で、本剤25mgは軽度腎機能障害患者及び中等度腎機能障害患者(eGFR45mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)において、いずれもプラセボ投与群と比べ有意な差が認められた。
投与52週後における副作用発現割合は、プラセボ群で27.3%(87/319例)、本剤10mgで37.0%(37/100例)、本剤25mgで31.5%(101/321例)であり、主な副作用は低血糖(プラセボ:14.4%(46/319例)、10mg投与群:16.0%(16/100例)、25mg投与群:15.9%(51/321例))及び尿路感染(プラセボ:5.6%(18/319例)、10mg投与群:5.0%(5/100例)、25mg投与群:4.7%(15/321例))であった。(外国人データ)
糖尿病に対してSGLT2阻害薬を投与すると、尿中への糖排泄増加により血糖および血中インスリンが低下し、肝臓での糖新生が増加します。脂肪分解が亢進し、遊離脂肪酸が肝臓でケトン体に代わり、体内にケトン体が増加します。
そのような状況で、周術期に絶食による糖質摂取不足や、侵襲に伴う体への極度のストレスを伴うと、脂肪分解がより亢進して体内のケトン体が急増し、ケトアシドーシス発症のリスクが増大する。
SGLT2阻害薬服用者では、高血糖を来さずにケトアシドーシスを呈するケースも問題視されている。
(日本糖尿病学会 SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation)
だが、SGLT2阻害薬は、投与中止後にもケトアシドーシスが遅延する報告も相次いだため、日本糖尿病学会の「」に「手術が予定されている場合には、術前3日前から休薬し、食事が十分摂取できるようになってから再開する」と2020年12月25日に追記された。
日本腎臓病学会からも「CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation」が公開されました(2022年11月29日)。糖尿病学会と同様の対応です。
慮し,手術前の休薬期間を設けることが望ましい。 【中止】期間の記述なし(1 ..
手術前後は、食事が中止になることが多く、低血糖のリスクも高いので、そのタイミングで糖尿病治療薬は服用中止となる。血糖値に基づいた量のインスリンを投与して血糖コントロールを行うことが多い。
ご存知の人も多いかも知れませんが、2020年3月にアメリカ食品医薬品局(FDA)がSGLT2阻害薬の手術前休薬について、添付文書の変更を承認しました。
[PDF] 手術 (全身麻酔)に伴うビグアナイド系糖尿病薬の休薬について
SGLT2阻害薬を飲んだままだと、周術期のDKAのリスクが高まります。だから、周術期(手術前後)に休薬が必要になるわけです。
SGLT2阻害薬と休薬 糖尿病治療薬は、「重症感染症、手術 ..
マンジャロには、強力なHbA1低下効果と体重減少効果があることが報告されています。
2型糖尿病を対象とした海外での研究データですが、これまでに日本で販売されていた糖尿病治療薬の中で最も体重減少効果が強いとされていたオゼンピックと比較しても非常に強いHbA1c低下効果と体重減少効果があることが示されています。
糖尿病用薬(ビグアナイド製剤,SGLT2阻害薬)の術前休薬期間
SGLT2阻害薬は術前に休薬しないといけないのに、その記載は添付文書内にしれっと紛れ込んでいるし、その理由もイメージしにくいのが、認知度を下げる要因だと思います。
米国麻酔科学会(ASA)は、患者は選択的手術や処置の前には、最長で1週間、GLP-1受容体作動薬の使用を中止するよう推奨している。
阻害薬は糖尿病治療のために作られた薬なのですが、近年の研究で心臓・腎臓を傷めてしまった患者さんに大きな利益をもたらされることが実証されており、最近では糖尿病がなくても心不全・慢性腎臓病を患っている患者さんに阻害薬を投与しましょう、という動きが加速しています。
手術前4週間、手術後2週間、産後4週間 低用量ピル(経口避妊剤 ..
しかし、「手術前にSGLT2阻害薬を止める、その理由は……?」と聞かれたらどうでしょう。私もこの記事を書くまでは答えられませんでした。
2 型糖尿病を合併した SGLT2 阻害薬を使用中の心不全患者が、食事摂取制限を伴う手
食事摂取ができない手術が予定されている場合には,し,食事が十分摂取できるよ うになってから再開する
成しました。原則は各診療科、手術部位、術式、手術時間によって出血リスクの評価は異なり、全てが
肥満を合併する、インスリン血糖値を下げるホルモンは潤沢に出ているが、それがうまく効いていない「インスリン抵抗性」が想定される患者さんでは優先順位第位、肥満のない、インスリンを自前で作る力がもともと体質的に弱い「インスリン分泌不全」が想定される患者さんでは優先順位は下位となっています。上述の通り、「インスリン分泌不全」タイプの患者さんでは合併症のリスクが高まるため、あまり優先して投与する薬ではないのですが、日回の内服で済む血糖降下作用の高い薬ですので、やせ型の「インスリン分泌不全」タイプの患者さんであっても、適切に他の薬と組み合わせて処方することがあります。
[PDF] Ⅲ.術前に投与中止する薬剤 ① 出血のリスクがある薬剤(薬効別)
毎回出している「型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を見ると、肥満・非肥満によって薬物選択の優先順位が少し異なることがわかります。
[PDF] 茨城県立中央病院 手術部運営委員会 術前中止薬一覧
余談ですが、阻害薬は余分な糖の排泄、尿量増加によるダイエット効果が期待できるため、一部の自由診療クリニックなどで若年女性などをターゲットに、糖尿病ではないがダイエットをしたい、という方に向けて自費で処方されているようです。しかし、これまで述べてきたような注意点に留意し、処方に精通した医師が慎重に投与すべき薬と考えますので、私はあまり好ましくないことだと考えています。
休薬の必要性はないが、血栓症などに対し患者のリスクに応じて休薬(添付 ..
H29年10月 「女性ホルモン関連薬」について、対象薬と術前中止期間を修正しました。
インクレチン関連薬の安全な使用に関するRecommendation
さらに、日本循環器学会からも「心不全治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」が公開されました(2023年6月15日)。今までと違って、2型糖尿病の合併の有無により、異なる対応が明記されています。2型糖尿病ではなく慢性心不全の適応で服用中の方は、3日前休薬ではなく、終日絶食になる日から休薬するかたちです。たとえば、手術当日だけ絶食の場合は、当日から休薬ということになります。
糖尿病治療における SGLT2 阻害薬の適正使用に関する Recommendation
最後に、これは医療者側が留意することなのですが、前回・前々回のブログで取り上げた「インスリン分泌不全タイプ」、つまり、体質的・遺伝的に血糖値を下げる物質であるインスリンを自前で作る力が弱い人に阻害薬を投与すると、前述の「ケトアシドーシス」のリスクが高まるため、慎重に投与することが重要です。私はそのような患者さんでは、インスリンの注射、あるいは体内でインスリンを作るのをサポートする飲み薬を併用するようにしています。ちなみに、インスリンは自前でたくさん作れるがそれがうまく活かせていない「インスリン抵抗性」タイプではあまりこの心配はありません。
SGLT2阻害薬というのは薬の種類名で、実際の薬物名でいきますと、院内では、ジャディアンス®、フォシーガ®の採用があります。 ..
前々回のメトホルミンを扱ったブログで「歳以上のご高齢の患者さんはシックデイリスクが若い患者さんより高いため、メトホルミンは慎重投与、歳以上の方に新規で開始することは避けている」と記載しましたが、この阻害薬については、後述の通り心臓・腎臓といった高齢者で機能低下を起こしやすい内臓に非常に良い効果がもたらされることが実証されているため、ある程度お元気な高齢者では慎重に投与するケースもあります。
SGLT2阻害薬のうち、フォシーガ(ダパグリフロジン)及びジャディアンス(エンパグリフロジン)については、
このように、SGLT2阻害薬は、注目度アップにより処方量が増加傾向です。手術を受ける患者さんがSGLT2阻害薬を服用しているケースも多くなっています。
観血的医療行為を行う際の出血などのリスクを軽減する、あるいは、検査時に使用する薬剤との
「心不全患者にSGLT2阻害薬を使用する場合には、本Recommendationをもとに、心不全診療ガイドラインや、日本糖尿病学会および日本腎臓学会のSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendationもあわせて参考にしていただきたい」としている。
薬の中にフォシーガがあります。 説明に心臓の働きを助ける、腎臓病の ..
2型糖尿病を合併したSGLT2阻害薬を使用中の心不全患者が、食事摂取制限を伴う手術を受ける場合には、し、術後は食事摂取が可能になってから再開する。一方、2型糖尿病を合併しない心不全患者では、し、術後は食事摂取が可能になってから再開する