介⼊期間を短縮し、10⽇を超えてデキサメタゾンが投与されないよう
RECOVERY試験のデザインに準じて7-10日間が最もエビデンスレベルが高いのが現状です。WHO REACT Working GroupによるRCT7報のメタ・アナリシスでは、投与期間は5-14日間としている試験を紹介しています。
ただし、患者の状態や症状に応じて、医師が投与期間を判断します。 モルヌピラビル
デルタ流行期に行われた二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験(EPIC-HR)で、発症5日以内にニルマトレルビル/リトナビルを投与開始することによって、18歳以上のワクチン未接種の重症化高リスク患者(軽症~中等症)の28日以内の入院または死亡が、88%減少(治療群0.8% vs プラセボ群6.3%)することが示された[19]。この臨床試験では、約50%が既感染者(ヌクレオカプシド蛋白に対するIgGが陽性)であったが、サブグループ解析では、既感染者の場合でも入院または死亡抑制効果が確認された(治療群0.2% vs プラセボ群1.5%)。また、治療開始5日目のウイルス量(鼻咽頭ぬぐい液)は有意にニルマトレルビル/リトナビル投与群で低く、投与することによって感染伝播が抑制される可能性が示唆された。
長期に投与することは、その後の生じるかもしれない肺の線維化を抑制する可能性がありますが、同時に他の感染症や血栓化の危険性が増加します。投与開始時期によって投与期間も調整する必要がありそうですが、それらを示したエビデンスは存在しません。パルス後に漸減するのであれば比較的長期になりますが、数日の間隔で早めに漸減することも可能と考えます。
発症から投与までの期間をみると、改善した患者の56%余りは4日以内、改善し ..
COVID-19患者がどの程度まで増悪すれば病院で診るのかというのは、パンデミックにおける一つの重要な命題である。基本的には、日本の定義[1]でいうところの中等症IIからは酸素投与が必要になるため絶対的に入院適応があり、従来であれば「酸素投与=デキサメタゾン開始=入院」が医療的な原則なのであるが、病床確保が困難になるにつれ在宅や宿泊療養施設での療養者が増える。結果として一部の増悪する患者に酸素投与が必要なケースが出てしまう(図)。
文献化はされていないが、ファイザー社の資料によると、重症化標準リスク群(重症化リスク因子のあるワクチン接種者、または、重症化リスク因子のないワクチン非接種者)を対象とした二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験(EPIC-SR)の中間解析では、症状の改善は早まらなかったが、28日以内の入院または死亡は減少する傾向が確認され(投与群0.7% vs プラセボ群2.35%、統計学的有意差なし)、治療開始5日目のウイルス量は投与群で有意に低かった[20]。
酸素投与が必要な期間,注意深いモニタリングのもとでデキサメタゾン経口投与
抗ウイルス薬、中和抗体薬、抗炎症薬ともに複数の製品が承認を受けています。投与経路や期間、特徴などが異なり、薬剤の在庫や状況に応じて使い分けられています。
投与により症状回復までの期間を1日短縮できると臨床試験で確認され、発表しています。軽症から、酸素投与が必要なほどの呼吸不全が見られない中等症患者に用いられます。
副作用に十分注意しながら酸素投与期間中は1日1回デキサメタゾン
新型コロナによる肺炎の治療にも有効とされ、コロナ治療薬としても2021年4月に承認されています。経口投与することで回復までの期間を1日短縮するとされています。
2020年に欧州リウマチ学会(EULAR)から発表されたワクチン接種に関する一般的な推奨では、高疾患活動性の患者にインフルエンザワクチンを投与した時にワクチンによる抗体産生が低かったという報告を受けて、ワクチン接種は原疾患の疾患活動性が安定している時に行うことが望ましいとされています1)。米国リウマチ学会 (ACR)が2021年6月に公表したClinical guidanceにおいても、原疾患の疾患活動性が安定している時期でのCOVID-19ワクチン接種を推奨しています2)。今後の情報の集積が必要ですが、上記を受けて考えますと原疾患の疾患活動性が安定した状態でワクチン接種することが望ましいと考えます。
デキサメタゾン群には2100人の患者が登録され、用量としてはそれほど多くない1日6mgのデキサメタゾンを10日間投与した。 ..
妊婦に関しては、添付文書に記載はないが、特に妊娠後期はCOVID-19重症化のリスク因子である。これまでのモノクローナル抗体の研究において妊婦に関する情報はないが、一般にIgG製剤は妊婦にも安全に使用されることから、NIHのガイドライン[2]では使用は考慮されるべきであると記載している。筆者の勤務する病院では、本人の承諾があれば投与を行っている。
○デキサメタゾンの投与群と標準治療群の比較で死亡率が減少 ..
当院では、これまでに結果が発表された臨床試験の結果やNIH・カナダオンタリオ州の治療ガイドラインなどを参考に、重症化リスクの高い患者を対象として、ニルマトレルビル/リトナビル(第1選択薬)またはレムデシビル(第2選択薬)を投与している。前者は外来治療、後者は3泊4日程度の入院治療となる。これら2剤が使用できない場合は、第3選択薬としてモルヌピラビルを使用することにしているが、当院での使用経験はまだない。なお、神戸市では、3月末の時点で、BA.2が約60%、4月中旬時点で約80%を占めることが確認されたため[18]、BA.1とBA.2を識別可能な変異PCR検出系(例:T547Kを検出するPCR検査)を導入していない当院では、2022年4月以降、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体は使用しない方針とした。
投与期間も臨床判断で早めに中止すること(発症から12日程度を目安に)も ..
なお、「みなし入院」の取扱いを2023年5月8日以降見直しておりますが(詳細は )、2023年5月7日までに新型コロナウイルス感染症と診断された方で、「みなし入院」の対象となる方については、2023年5月8日以降もこれまでどおりご請求いただけますのでご安心ください。
有益性投与, 催奇形性なし, 主に妊娠中期以降の使用報告ではリスクはみられていない ..
従来株~アルファ流行期に行われた二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験(PINETREE)で、発症7日以内にレムデシビルを投与開始ことによって、12歳以上のワクチン未接種の重症化高リスク患者(軽症~中等症)の28日以内の入院または死亡が、87%減少(治療群0.7% vs プラセボ群5.3%)することが示された[23]。ただし、ニルマトレルビル/リトナビルと異なり、治療開始7日目のウイルス量(鼻咽頭ぬぐい液)は、レムデシビル投与群とプラセボ群で同等であったため、投薬による感染伝播性の低下は期待できないのかもしれない。
・妊娠可能な女性に対しては,本剤投与中および最終投与後,一定期間は適切な避妊を行 ..
例えばインフルエンザウイルスの治療では、細胞内に侵入したウイルスの増殖を抑える薬剤、あるいは増殖したウイルスが細胞から放出されるステップを阻害する薬剤などが開発されており、ウイルスそのものを標的とすることができます。しかし2020年4月現在、新型コロナウイルスを直接標的とする確立した治療薬はありません。基本的には熱を下げる、酸素を投与するなどの対症療法を行いながら、自分の免疫力によって体内のウイルスが駆逐されるのを待つことになります。一般の風邪のように、ほとんど重症化しないウイルス感染症の場合にはそれで問題になりませんが、新型コロナウイルス感染症では一部で重症化し、対症療法だけでは治癒できないケースがあるため、重症化を防いで治癒を早める治療薬が必要になります。大きく分けて、ウイルスそのものを標的とする薬剤と、ウイルス感染の結果起こる炎症の重症化を抑制する治療薬とに分けられます。
COVID-19 患者に対するステロイドの種類、投与量、投与期間、開始時期に関する比較研究 ..
臨床試験は、eGFR 30 mL/分未満の患者を除外して行われているため、重度の腎障害のある患者に対するレムデシビルの効果を明確に示した質の高いエビデンスは筆者の知る限り存在しない。ただし、レムデシビルのPK/PDを検討した研究から、非透析患者であれば、初日200mg、2日目100mgを投与すれば、3日間以上の十分な血中濃度が期待できる[24]。そのため、eGFR 30 mL/分未満の非透析患者の場合、副作用に注意しながら、2回投与を試してもよいと考える。透析患者の場合は、透析4時間前に100mgを投与し、それをもう1回行えば、3日間以上の十分な血中濃度が期待できる[25](表6)。
症状発現からコルチコステロイドの投与開始までの期間が7日を超えていた患者では, ..
英国・RECOVERY試験共同研究グループのPeter Horby氏らは 、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者のうち、侵襲的人工呼吸器または酸素吸入を使用した患者に対するデキサメタゾンの投与が28日死亡率を低下させることを明らかにした。NEJM誌オンライン版2020年7月17日号に掲載報告。なお、この論文は、7月17日に改訂された厚生労働省が発刊する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第2.2版」の“日本国内で承認されている医薬品”のデキサメタゾン投与の参考文献である。
この研究では、2020年3月19日~6月8日の期間にCOVID-19入院患者へのデキサメタゾン投与における有用性を把握するため、非盲検試験が行われた。対象者をデキサメタゾン投与群と通常ケア群にランダムに割り当て28日死亡率を評価し、人工呼吸器管理や酸素吸入の有無によるデキサメタゾン投与の有用性を検証した。デキサメタゾン群には1日1回6 mgを最大10日間、経口または点滴静注で投与した。通常ケア群には、日常臨床でデキサメタゾンを使用している患者が8%含まれていた。薬物療法として、アジスロマイシンは両群で使用(デキサメタゾン群:24% vs.通常ケア群:25%)、そのほか通常ケア群ではヒドロキシクロロキン、ロピナビル・リトナビル、IL-6アンタゴニストなどが投与された。また、レムデシビルは2020年5月26日より使用可能となり一部の症例で投与された。
主な結果は以下のとおり。
・全参加者11,303例のうち、他の治療を受けるなどの理由で4,878例が除外された。残り6,425例をデキサメタゾン投与群2,104例(平均年齢±SD:66.9±15.4歳)と通常ケア群4,321例(平均年齢±SD:65.8±15.8歳)に割り付けた。
・6,425例の呼吸器補助別の割り付けは、侵襲的人工呼吸器管理が1,007例、酸素吸入が3,883例、呼吸器補助なしは1,535例だった。
・28日死亡率は、デキサメタゾン群が482例(22.9%)、通常ケア群は1,110例(25.7%)で、デキサメタゾン群で有意に低下した(Rate Ratio[率比]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.75〜0.93、p<0.001)。
・呼吸器補助レベルを考慮した場合、侵襲的人工呼吸器管理の患者において絶対的・相対的ベネフィットが示される傾向で、デキサメタゾン群は通常ケア群より死亡発生率が低く(29.3% vs.41.4%、率比:0.64、95%CI:0.51~0.81)、酸素吸入群においても同様だった(23.3% vs.26.2%、率比:0.82、95%CI:0.72~0.94)。しかし、呼吸器補助を受けていない患者において、デキサメタゾンの効果は明らかではなかった(17.8% vs.14.%、率比:1.19、95%CI:0.91~1.55)。
・副次評価項目として、デキサメタゾン群は通常ケア群より入院期間が短く(平均入院日数:12日 vs.13日)、28日以内の退院の可能性が高かった(率比:1.10、95%CI:1.03~1.17)。この最大因子は侵襲的人工呼吸器管理だった。
・呼吸器補助を受けていない患者において、副次評価項目である侵襲的人工呼吸器管理や死亡の複合は通常ケア群よりデキサメタゾン群で低かった(率比:0.92、95%CI:0.84~1.01)。
投与期間に関しては,挿管例を除く低酸素血症のある COVID-19 肺炎患者 ..
COVID-19は、発症後の時間経過で悪化することが分かっています。軽症と診断される時期に早期にステロイドを投与すると、その予後を悪化させることが推測されます。通常、感染から7日間はウイルスが増殖する期間であり、この後に異常免疫、すなわちサイトカインストームによって重症化すると考えられています。そのため、ステロイドは感染7日以降に投与することが望ましいとする考え方がありますが、WHO REACT Working Groupによるサブ解析ではその有意差は見られなかったとされています。現状では、少なくとも酸素投与を必要としない症例には投与すべきでなく、人工呼吸器や酸素投与が必要となった症例では、感染7日目以内であっても投与を検討することが妥当と考えられます。悪化の速度は一律ではないため、慎重に経過を観察しながら投与のタイミングを逃さないようにすることが肝要です。
WHOは重症COVID-19患者へのデキサメタゾン、ハイドロコーチゾンまたはプレドニゾロンの投与を推奨しています。 ..
感染者1036万人、死者51万人、これはWHOが公表している世界におけるCOVID-19の状況である(2020年7月1日現在)[1]。2019年12月31日中国武漢市から発せられた原因不明の重症肺炎の報告[2]を端緒に、SARS-CoV-2は瞬く間に感染を広げ、僅か3ヶ月の間に5大陸全てを席巻、人類史に残るパンデミックを惹き起こしている。
投与期間に関しては,挿管例を除く低酸素血症のある COVID-19 肺炎患者では ..
主にデルタ流行期に行われた二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験で、発症5日以内にモルヌピラビルを投与開始することによって、18歳以上のワクチン未接種の重症化高リスク患者(軽症~中等症)の29日以内の入院または死亡が、約30%減少(治療群6.8% vs プラセボ群9.7%)することが示された[30]。ニルマトレルビル/リトナビルやレムデシビルと直接効果を比較した臨床試験はないが、プラセボ群との効果の差が他の薬剤より小さいため(モルヌピラビル 約30% vs 他の薬剤 約80%)、各ガイドラインでは、他の薬剤よりも推奨度が低くなっている。また、サブグループ解析ではあるが、既感染者(SARS-CoV-2 IgG陽性者)に対して入院または死亡抑制効果を認めなかったことに注意が必要である(治療群 3.8% vs プラセボ群 1.7%)。ワクチン接種者への効果は検討されていないが、既感染者に対して無効であることから、ワクチン接種者に対する効果もそれほど期待できないことが予想される。
妊娠可能な女性に対しては,本剤投与中および最終投与後一定期間は適切 ..
モルヌピラビルは、18歳未満の小児・青年期に対して臨床試験は行われておらず、現時点で投与適応はない。また、突然変異誘発・催奇形性が懸念されるため、妊婦への投与は禁忌である。妊娠可能年齢の女性は、使用中と使用終了後4日間は避妊が必要である。また、授乳中の女性も、使用中と使用終了後4日間は授乳を中断することが推奨されている。