マイコプラズマ肺炎を疑う場合、胸部レントゲン検査とCT検査をおこないます。
潜伏期は通常2~3週間で、初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛などである。咳は初発症状出現後3~5日から始まることが多く、当初は乾性の咳であるが、経過に従い咳は徐々に強くなり、解熱後も長く続く(3~4週間)。特に年長児や青年では、後期には湿性の咳となることが多い。鼻炎症状は本疾患では典型的ではないが、幼児ではより頻繁に見られる。嗄声、耳痛、咽頭痛、消化器症状、そして胸痛は約25%で見られ、また、皮疹は報告により差があるが6~17%である。喘息様気管支炎を呈することは比較的多く、急性期には40%で喘鳴が認められ、また、3年後に肺機能を評価したところ、対照に比して有意に低下していたという報告もある。昔から「異型肺炎」として、肺炎にしては元気で一般状態も悪くないことが特徴であるとされてきたが、重症肺炎となることもあり、胸水貯留は珍しいものではない。
他に合併症としては、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など多彩なものが含まれる。
理学的所見では聴診上乾性ラ音が多い。まれに、胸部レ線上異常陰影があっても聴診上異常を認めない症例があり、胸部レ線検査が欠かせない。胸部レ線所見ではびまん性のスリガラス様間質性陰影が特徴とされてきたが、実際には多いものではなく、むしろウイルス性、真菌性、クラミジア性のものに多いと報告されている。マイコプラズマ肺炎確定例では、大葉性肺炎像、肺胞性陰影、間質性陰影、これらの混在など、多様なパターンをとることが知られている。血液検査所見では白血球数は正常もしくは増加し、赤沈は亢進、CRP は中等度以上の陽性を示し、AST 、ALT の上昇を一過性にみとめることも多い。寒冷凝集反応は本疾患のほとんどで陽性に出るが、特異的なものではない。しかしながら、これが高ければマイコプラズマによる可能性が高いとされる。
マイコプラズマの検査もされていませんし、副作用の説明もされていませんでした。
綿棒で鼻の奥をこする検査や血液検査により、痛みや不快感を伴うことがあります。ただし、マイコプラズマ感染症の通常の診療でも同様の検査を行っています。
マイコプラズマ肺炎を疑ったときは、発熱から5日間は抗生剤を使用しないで待ちます。熱が5日以上続けばレントゲンで肺炎を確認したうえで抗生剤を投与します。8歳以上ではミノマイシンの点滴が有効で翌日には熱は下がります。8歳未満の子どもにはマクロライドを内服させると2~3日で解熱します。
マイコプラズマ治療薬の投与期間については、以下を参考にしてください。
確定診断には、患者の咽頭拭い液、喀痰よりマイコプラズマを分離することであるが、適切な培地と経験があれば難しいことではない。しかしながら早くても1 週間程度かかるため、通常の診断としては有用ではない。近年迅速診断としてPCR 法が開発されており、臨床的に有用性が高いが、実施可能な施設は限られている。
臨床の現場では血清診断でなされることが多い。補体結合反応(CF)、間接赤血球凝集反応(IHA)にて、ペア血清で4倍以上の上昇を確認する。単一血清で診断するには、それぞれ64倍以上、320倍以上の抗体価が必要である。近年、粒子凝集法(PA )、蛍光抗体法(IF)あるいは酵素抗体法(ELISA)によるIgM、IgG抗体の検出も可能となっている。
・大半は咳・発熱・咽頭痛・頭痛・倦怠感・嘔吐下痢・腹痛症状などで風邪と区別がつきません。多くの方は軽い風邪として自然に治癒します。発疹を伴うこともあります。
・咳が長引くことがあり、肺炎(マイコプラズマ肺炎)、気管支炎を引き起こす場合があります。
マイコプラズマは短桿菌だが細胞壁がないため、グラム染色では見えない[14]。
抗生剤の投与を5日間待つのは初期にはマイコプラズマと区別ができないカゼに抗生剤を投与することを避けるためです。また、この時期に抗生剤を投与しても肺炎になるのを防げないからです。
・マイコプラズマに感染して肺炎になるのは、感染者の3~5%程度です。とくに幼児〜学童は肺炎を起こしやすく、免疫反応が弱いこともあって、何度でも感染する可能性があります。
・肺炎を引き起こした場合、感染後の発熱が持続したり咳が徐々に強くなっていきます。
・咳は発症3~5日後ぐらいから始まり、典型例では痰(たん)を伴わない乾いた咳が続きます。当初は乾性の(乾いた)咳、経過に従い咳は徐々に強くなり、解熱後も長く続きます(3~4週間)。年長児や青年では、後期には湿性の(湿った)咳となることも多くあります。
天神マイケアクリニックのマイコプラズマの検査・治療は以下の通りです。
潜伏期は2~3週間と考えられています。年齢の小さい乳幼児が感染したときは、他のウイルスが起こすカゼ(上気道炎)と同じような症状を起こすことが多く、年齢の高い幼稚園児や小中学生が感染したときは、肺炎を起こす率が高くなります。これは言い換えると、 マイコプラズマに何回か感染した時の方が、初めてかかるときよりも肺炎になりやすいということ です。このことは、肺炎の原因として、マイコプラズマに対するアレルギー反応が関与している可能性を示唆しています。(感染症は何度もかかるうちに抗体が強化されてかからなくなりますが、花粉やハウスダストなどのアレルギーは、何度も吸い込んでいると悪化します。)逆に、肺炎になってしまうと、体力のない乳幼児の方が、年長児よりも重症になります。また、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、胸膜炎、紅斑やじんましんなどの皮膚症状、気管支喘息の発作の原因となります。まれには髄膜炎、脳炎、腎炎、関節炎、心筋炎、溶血性貧血などを起こして重症となることもあります。これらのいろいろな症状は、マイコプラズマの病原体としての作用と、アレルギー反応が複雑に絡んでいると考えられます。
「マイコプラズマ」というと、まず「肺炎」が連想されます。小児科の日常診療の中で最も多く見かける肺炎で、しつこい咳と発熱が特徴です。熱は午前中は下がっているが、午後になって上がってくることが多く、受診の遅れる原因となります。午前中調子が良くても油断しないでください。私の実感として、気管支喘息の既往がある人や、アレルギー体質の人でカゼをひくといつもゼロゼロいったり咳が長引く人が肺炎になる率が高いと思います。重症になる他の細菌性肺炎の場合とは違って、レントゲン上の派手な真っ白な影の割には、全身状態 がそんなに悪くないことが多いため、‘異型肺炎=普通とは違う肺炎’とも呼ばれます。特 に年長児の場合は、激しい咳はありますが、熱がないこともあり、ふつうに生活して、時には学校に行 っている場合もあります(それで、集団発生するのでしょう)。聴診器で胸の音を聞いても異常がないこともあり、診断が遅れる原因となります。細菌による肺炎は細気管支や肺胞という吸った空気の通り道を中心に炎症が起っていますが、マイコプ ラズマによる肺炎は、間質といって細気管支や肺胞の外の部分に主として炎症が起っています。ですか ら、胸の音を聴診器で聞いても、肺炎特有のプツプツという泡がはじけるような音が聞こえにくいので す。しかし、時間が経ってくると、炎症が細気管支や肺胞の中に広がってきて、肺炎特有の音が聴診で 聞こえるようになってきます。また、気管支喘息の発作と重なると、最初から派手な聴診音が聞こえます。
マイコプラズマ肺炎は、感染から発症までの潜伏期間が1~3週間ぐらいで ..
小児では一般的なセフェム系やペニシリン系の抗生剤を処方しているのに、一向に熱が下がらず、咳が続く場合に疑ってみます。周囲での流行があり、レントゲンで典型的な真っ白な影があれば、ほぼ間違いありません。肺炎の影が大きくて濃いほど、治療が大変となりますので、被ばくのデメリット(僅かで、通常は問題となりません)を考えても、胸部レントゲンは積極的に撮ったほうがよいと考えています。診断を確定するには、咽頭ぬぐい液や喀痰からマイコプラズマの遺伝子を検出するLAMP法がありますが、検査会社へ委託するため結果が出るまで数日を要します。これに対して、同じく咽頭ぬぐい液からマイコプラズマの抗原を検出するキット、血液から抗体を検出するキットがあります。この2つはその場ですぐに結果が判定できますが、それぞれ感度が鈍い、疑陽性が出やすいという欠点があります。これらの検査は有益な情報の一つとなりますが、実際の診療では、必ずしも検査が必要なわけではありません。症状と経過から診断することもあり得ます。マイコプラズマ肺炎を強く疑っても確認できなかった場合は、クラミジアという細菌の起こす肺炎の可能性があります。
アジスロマイシン水和物(ジスロマック)の最適な投与期間と効果的な使用法
マイコプラズマ肺炎は肺炎としては軽症であることが多いので、通常は通院で治療可能です。食欲と睡眠が保たれ、薬がきっちりと飲める場合は、有効なマクロライド系の抗生剤 (エリスロシン、クラリシッド、ジスロマックな ど)の内服だけで治ります。ところが最近は、これらの薬に耐性をもつマイコプラズマが増えているので、オゼックスなどのニューキノロン系やミノマイシンが必要なこともあります。オゼックスの副作用はほとんど経験しませんが、ミノマイシンはやはり一定の割合で肝障害や歯が黄色くなる副作用が出るので、最終手段です。症状のひどい場合は、ダラシン やミノマイシンなどの点滴注射を行い、アレルギーの関与を考慮してステロイド剤の併用をすることもあります。もちろん他の原因によるカゼ症状と同じく、咳止め、去痰剤、解熱剤などで症状を和らげます。高熱で水分がとれず、脱水状態になっている時や、咳が激しくて睡眠や食事が著しく妨げられる場合、また、上に挙げたような重症の合併症が起きた場合は、入院しての治療が必要となります。
マイコプラズマ肺炎の症状や検査、感染力について【大人の症状も】
マイコプラズマ肺炎は、感染から発症までの潜伏期間が1~3週間ぐらいで、痰(たん)や唾(つば)で広がる飛沫感染(ひまつかんせん)を起こします。肺炎としての発症のピークは8歳から9歳です。
しかし、マイコプラズマの潜伏期間は2-3週間もあります。したがって ..
発熱、咳(せき)、鼻水などの症状があり、特に咳は、最初乾いた咳から痰の絡んだ咳になり、2週間程度続きます。マイコプラズマは、乳幼児では風邪のような症状ですが、学童期以降や大人の場合は肺炎を起こします。
マイコプラズマは細菌ですので、細菌を殺す抗菌薬による治療が効果を発揮します。しかし、マイコプラズマに効く抗菌薬は、マクロライド系抗菌薬(エリスロシン、クラリス、クラリシッド、ジスロマックなど)、テトラサイクリン系抗菌薬(ミノマイシンなど)、ニューキノロン系抗菌薬(クラビット、オゼックスなど)に限られます。抗菌薬が効きにくいマイコプラズマが増えています。大人では多くないのですが、子どもでは既に90%近くが、マクロライド系抗菌薬が効かないと言われています。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの潜伏期間は1〜4週間ほどで、潜伏期間を経た ..
最近マクロライドが効かないマイコプラズマが急増して小児科医は困っています。マクロライド系抗生剤が効かない耐性マイコプラズマが現在では50~80%にもなり、マイコプラズマ肺炎の治療が年々難しくなってきています。これはマクロライドなどの抗生剤に本来効果がないカゼや効果が不明な副鼻腔炎や滲出性中耳炎の治療にマクロライドの使用が増えたためです。
マイコプラズマ肺炎に対する抗菌剤の治療期間について臨床的に検討した
マイコプラズマ肺炎は、自然にも治りますが、抗菌薬で症状を軽くすることができます。そのため子どもでは、テトラサイクリン系抗菌薬、ニューキノロン系抗菌薬の効果があると考えられます。
しかし、テトラサイクリン系抗菌薬は、8歳以下の子どもに、2週間以上長く使用すると歯が黄色くなったり、骨の発達に影響を受けると言われています。短期間で適切に使用するのであれば、副作用はかなり少なくなります。
ニューキノロン系抗菌薬も、関節への影響から子どもにあまり使用されませんが、最近、子どもに安全なニューキノロン系抗菌薬があります。
咳が止まらない!?その症状「マイコプラズマ肺炎」かもしれません
肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae )は、急性肺炎の主要な病原細菌である以外に、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪に関連する慢性感染が指摘されている。
従来から、急性肺炎の病原診断の際、血清抗体の上昇は、特異性が高く、M. pneumoniae 診断に頻用されてきた。最近のアジアの多施設調査による報告でも、1,374人のペア血清の得られた市中肺炎において、M. pneumoniae は12%の肺炎に関与したとの数値が示されている。一方、M. pneumoniae による慢性感染症や不顕性感染症の実態は、その診断法を含め、いまだ不明な点が多い。M. pneumoniae は気道上皮細胞における表層感染症を起こすと考えられているが、喘息やCOPDの患者においては、慢性感染を起こす病原細菌として、細胞内寄生体の肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae )と合わせ論じられることが多い。どちらの病原細菌も、慢性感染に関しては、不明な点が多い。すでに診断法として確立したM. pneumoniae やC. pneumoniae のPCR法であるが、気道検体でM. pneumoniae 、C. pneumoniae 抗原が陽性と判定されても、活動的な病原因子が存在しているのか、断片にすぎないのかは不明であり、特に、気道生検の材料を用いた成績では、PCR法による判定と、培養法、血清抗体の検査法との相関がみられない現状がある。
3つ目は「投与期間」です。 一般的なジスロマックの投与期間は3日間で、1日1回の服用になります。
近年、マクロライド耐性マイコプラズマが小児で増加していることもあり、成人でもマクロライド耐性マイコプラズマを肺炎の起炎菌として考慮すべき場合があります。
標準的治療後に再燃し重症化した成人マイコプラズマ肺炎の 1 例
これは細菌とウイルスの中間のものといわれ、細菌は細胞壁をもっていますが、マイコプラズマにはありません。これがこの菌の最大の特徴です。一般的に使われている抗生剤はペニシリンやセフェムといわれているもので、これは細菌の細胞壁を壊します。人間には細胞壁が存在しないので細菌のみを殺します。しかし、マイコプラズマは細胞壁を持たないので、これらの抗生剤は無効です。
[PDF] 東京新聞:健康 マイコプラズマ肺炎(2008.02.29)
肺炎の原因微生物により主にウイルス性、細菌性、マイコプラズマ性などに分けられます。
●主な症状
発熱が数日続き、咳が増強します。場合により胸部に雑音が聴こえ呼吸苦を訴えることもあります。
●検査
血液検査及び胸部レントゲン検査など
●治療
細菌性及びマイコプラズマ性においては、抗生物質を内服します。その他には、ウイルス性も含めて咳、痰、鼻汁に対してのお薬で様子をみることになります。
●入院の必要
治療による改善が見られず、お薬がのめない。体力がなく水分不足があり全身状態の悪化が予想される。などの場合は入院が必要な場合もあります。
マイコプラズマの潜伏期間は2~3週間と長く、周囲に知らぬ間に感染し、あっ ..
◉ マイコプラズマは、主に以下の2種類の作用によって感染が引き起こされ悪化します。
①マイコプラズマが直接体にダメージを与える。
②マイコプラズマに感染した人自身の免疫反応で炎症が誘発され肺炎、気管支炎、髄膜炎などが引き起こされる。
( マイコプラズマには、「活性酸素」という人体にダメージを与える物質を産生して肺や気管支の組織を傷害する作用があります。さらに感染した人自身の免疫反応により、より強い炎症が引き起こされ肺炎などになることがあります。)