やるなら数錠いっきに投入か、クラリスやジスロマックの併用などが理想


CYPに関連した相互作用が少ない『ジスロマック』ですが、や『ネオーラル(一般名:シクロスポリン)』との併用では血中濃度の上昇が報告されています2,5)。いずれも『クラリス』より影響は小さいですが、厳密なコントロールが必要な薬のため注意が必要です。


添付文書には併用してはいけないなどの記載はないですし、経験的に併用は問題ないと思います。

『クラリス』には、多くの薬の代謝・分解に関わる酵素「CYP3A4」の働きを阻害する作用があります1)。そのため一緒に使ってはいけない1)。
『ジスロマック』はこの代謝酵素「CYP3A4」にほとんど影響しないため、他の薬と相互作用を起こすリスクは低く「併用禁忌」の薬もありません2)。

1) クラリス錠 添付文書
2) ジスロマック錠 インタビューフォーム

『ジスロマック』は、相互作用が少なく、服用の手間も少ないです。
『クラリス』は、値段が安く、経済的負担が少ない薬です。

また、妊娠中の安全性評価でも『ジスロマック』の方がやや優れているため、患者の併用薬や妊娠などの状況によって使い分けることがあります。一方で、には『クラリス』しか保険適用がありません。

併用注意: 1). 制酸剤(水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム ..

最も高く評価されているのは『エリスロシン(一般名:エリスロマイシン)』ですが、『クラリス』と同様に相互作用を起こしやすい弱点があるため、併用薬の状況によっては『ジスロマック』が良い選択肢になります。

9歳の子供です。
風邪症状、熱なしで昨日病院でジスロマックを処方されました。
今朝40度までねつがあがってるため
インフルエンザの検査するのですが、
ジスロマックとタミフルやリレンザの併用になってしまいますが大丈夫ですか?

多臟器不全:第一死亡 (不明) [併用薬リトール、バナン、ロキソニン]

◆併用禁忌に指定されている薬の種類
ジスロマック:
クラリス:9種

治療

1.安静 「お母さん付き布団」
インフルエンザは普通感冒とは異なります。中耳炎、気管支炎など合併症も多く「風邪は万病の元」の代表格。電気毛布などで暖めてはなりません。(予想以上に高熱になることがある)
たっぷりと休養を取りましょう。社会を守るために休みましょう。
インフルエンザにかかって一番心配なのは(乳幼児)、お年寄りです。

2.水分補給・熱の放散
自然経過の場合、最初の3日間は38-40℃の高熱が続く(朝方、解熱することがある)のが特徴です。リンゴジュース、果実、イオン飲料で十分に水分を摂取させてください。
最近では「飲む点滴」乳児用イオン飲料が発売されており、塩分・糖分の補給が簡単にできます。
ちなみに脱水症と判断したら私は10kg程度の児には200~400ml程度、20kg児には500ml~の輸液を行います。(コップ1~2杯位は飲んでね、ということです。)
体を冷やすのなら脇の下、頭、首を冷やす、自動車のオーバーヒートと同じ、熱の放散を図ること(決して厚着をさせない、こたつ・電気毛布に入れない)、頭の中から熱を運び出してくれるのも水分が大切なので、水分を少しずつ。
今、お家の中にお薬がなくとも、今すぐ病院に行けなくとも、あなたにできることはいくつも残っているはずです。
「こたつで暖めるナ!」「電気毛布ダメ」「TVやゲームはだめ」!!
もし寒がる(高熱を出すために悪寒・戦慄が起きると手足が冷たく、顔色も悪くなる)ときについ、こたつに入れたり、電気毛布を考えたりします。くれぐれも過高熱には注意してください。
私の家族や私自身、寒いからとこたつに入って脱水になった記憶があります。「蒸し焼き状態」なのです。くれぐれもご注意を。

2.熱性痙攣の予防・対処
熱性痙攣はインフルエンザの早期合併症のひとつです。時には1日数回のけいれん発作がみられることがあります。(インフルエンザ脳症のガイドラインでは要注意例になります)
痙攣を起こしたことのない子もインフルエンザのように40℃の高熱が出る病気にかかると、けいれんを起こさないまでも、うわごと・ピクツキ(ビクビクッとなる)がよく出ます。
けいれんは突然、子どもの意識がおかしくなり、顔色が悪くなり、まるで息をしていない様に見えます。目は一点を凝視、口から泡を吹いたり、手足を突っ張る様になります。ビクビクと手足を動かすこともあります。
けいれんが起きたら、まず辺りを明るくしてよく観察しましょう。
○衣服はゆったりとし、毛布などを払いのけてよく全体が見える様に
○嘔吐することがあります、顔を横に向けて
(舌を噛みそうなときもありますが、本当に噛んだ子はあまり来ません)
○TVや時計などでどれくらい続いたか
○手足のピクピクが落ちついて意識が戻ったか
○手足の動き方は左右、手・足全体か、などを観察


必ずけいれんは収まります。(数十秒~数分以内)「窒息しなければ痙攣で死に至ることはありません。」
意識が戻れば、周りのことがよくわかっているか、自分や家族の名前、学校など、よく観察してください。
○意識の戻りが悪く、再びけいれんを繰り返すときにはけいれん重積状態といって、けいれんを止める必要があります。。


日本ではダイアップ坐薬(ジアゼパム)などを使用して熱性痙攣を予防することができます。
ただし私は痙攣自体はインフルエンザの時に脳症合併の早期発見のために役立つことがあると考えますので、全ての子どもが予防投与する必要はないと思っています。
ダイアップ坐薬を使用すると子どもが眠ってしまうことが多くなり、大切な水分・食事を摂取する機会を失うのではないかという危惧もあります。
痙攣を繰り返し脳症との鑑別のために入院させた子どもには最初の痙攣を抑えた後は、少なめの塩分を含んだ点滴を行い、熱を外に運び出せる様にして、経過観察を行います。
何度も繰り返して痙攣発作をおこした既往のある子どもは予防する手があるよ、でも子どものことをちゃんと観察してね、という説明の仕方をしています。もちろん、痙攣のために何度も入退院を繰り返した、などという場合は予防が大切と考えられます。

それにしても体温が40℃あれば脳内はもっと高いはず、水分が摂取できておらず超高熱になっていれば子どもたちの未熟な脳は痙攣を起こしても、不思議ではありません。

3.栄養補給

熱に体が慣れてきたら、うどん、おかゆなど消化の良いものを摂らせましょう。後半戦は嘔吐、下痢症状もよくあります。
嘔気、下痢症状が始まれば食事に細心の注意が必要です。(タミフル自身、嘔気・嘔吐の副作用があります。)

4.対症療法
「対症療法」とは症状にあわせて治療します、ということです。咳嗽、鼻汁あれば感冒薬を併用し
ます。下痢、嘔吐あれば下痢止め、整腸剤、制吐剤ということです。インフルエンザは後半戦は賑やかな咳・鼻水が特徴です。(だから中耳炎、肺炎を合併しやすいのです。)

5.解熱剤
以前より新聞報道などで紹介されたとおり、アスピリン、ボルタレン、ポンタールなどいくつかの解熱剤がインフルエンザの経過に悪影響(Reye症候群を起こしやすい)を及ぼすとされ、使わないよう指導されています。
お宅の薬箱の中にボルタレン、ポンタールはありませんか。(他にもいろいろ商品名あり)
これまでに処方された古い熱冷ましの中には現在では小児には禁忌になった解熱剤が含まれているかもしれません。
小児では従来から使用されているアセトアミノフェン(アンヒバ、アルピニー、カロナール
など)、イブプロフェン(ブルフェンなど)が適しているとされています。

「熱冷ましは使った方がいいか」の問いに対し、解熱自体は構わない、子どもが水分を摂ったり何とかしのげる程度に解熱を図ることと説明するようにています。
40℃以上の高熱は体内~脳内ではもっと高熱になっているのですから更なる強力な解熱作戦
(少しずつ水分を補給、輸液など)が必要と考えます。

高熱はウイルスと闘うために体が大量の免疫物質を出すためにインフルエンザではよくみられる症状ですが、高すぎると熱性痙攣を起こしたり脱水、消耗の原因になりますので「そこそこに」下げてあげたいのです。「高熱に注意!」

6.抗インフルエンザ薬
今ではタミフル、リレンザと2つの抗インフルエンザ薬が出ています。
37℃台の軽症例まで使う必要はないと思います。
なおタミフルは脳症を予防することはできない、とされています。
発熱期間の短縮(平均0.5~1日程度)に効果があり、咳・鼻水の期間が短縮する効果がありますが、インフルエンザウイルスは2日までに増殖はピークに達します。お薬の作用はウイルスの増殖を抑えるのみです。2日以内に内服しないと効きません。

副作用


では他にインフルエンザに効果があるお薬があるのでしょうか。
実は診断がつく前の最初から、を処方しています。
私の家族に使用したところ、解熱剤と併用して、よく効いた印象がありました。

ちなみに(新型)インフルエンザにはいろんな発熱の仕方があります。季節型にはタミフルや
リレンザを使わなくてもさっさと解熱、回復する症例があります。1~2日で解熱する子もいます。

インフルエンザはほとんどが治る病気です。家族に見守ってもらい自宅で寝ているのが一番です。

合併症
よくあるのが、
①中耳炎 ②喘息・クループ(ケンケン、オットセイのような咳) ③気管支炎
1~2日目に多い熱性痙攣 >>⑥脳症

「みんなが脳炎・脳症になるわけではない」「(インフルエンザの診断に限らず)意識障害、繰り返すけいれんがあれば来院」
症状
高熱に続いて、意識障害、痙攣が出てくるもの。
自分や家族の名前、学校などの質問が理解できない。
痙攣・嘔吐を繰り返す。




繰り返しますが、みんながそうなるわけではありません。


よくある質問

いいえ、誰もがそうなってしまうわけでは決してないのです。ただし脱水や全身状態を悪化させることはしない方がよいでしょう。(ボルタレン、ポンタールなどの強い解熱剤、こたつで暖めすぎるなど。)高熱の間は、意識障害・嘔吐・けいれんに注意しましょう。


はい、多くの症例は新型、季節型とも自宅療養で十分治せます。
熱性痙攣を繰り返し脳症との鑑別が必要な季節型の症例、脱水を起こした症例が当院入院しました。(毎年数人程)
新型インフルエンザの場合は、脳症や気管支喘息の増悪、肺炎が入院対象になると考えます。
(子どもたちはおうちが一番安心できることを知っています。)


ワクチンが効果をあげるまで数週間から1ヶ月ほどかかるために、残念ながら発症してしまうかもしれません。季節型ワクチンは毎年10~12月に接種するようにお願いしています。


生後半年に満たない乳児の場合、当院で診療した季節型の症例は比較的軽症の印象でした。
発熱は1~2日程度で自然に解熱し、大きな子と同様に咳嗽、鼻汁が続きました。気管支炎などは注意が必要かと思われます。生後1才(それ以下はご家族と相談の上)からタミフルは処方できます。


インフルエンザとともに喘息大発作を起こしてしまう例は皆無ではありません。全体を通して咳、鼻汁はひどくなりやすく気管支炎、中耳炎には注意しましょう。ご両親と相談の上、タミフル、リレンザの処方を考慮します。
またインフルエンザにかかったことで、その後に喘息発作を起こしやすくなるか、といえばRSウイルスやマイコプラズマに比べると軽い印象です。

予防
インフルエンザに限らず、病原体の多くは鼻や口から入ってきます。
です。
は、今年も原則2回接種を行います。(希望者や成人は1回接種)

当院小児科でインフルエンザワクチンを接種するのは

対象年齢 乳児期より~
対象とする児 熱性痙攣、気管支喘息をもつ児、そのほか希望する児、その家族
禁 忌 強い卵アレルギーをもつ児

今年もワクチン接種を行います。希望される方はお早めに。


「インフルエンザを疑って病院にいったのに、”陰性”といわれた。じゃあ、一体この子の病気は何?」
似て非なる病気は、この時期にいくつか知られています。
典型的なインフルエンザは、上記の通りです。
高熱、咳、鼻水、頭痛の4拍子そろったものが、インフルエンザ。咳、鼻水のない高熱は意外と検査が陰性になるものです。それもそのはず、インフルエンザウイルスは活動の場所が鼻やのどの粘膜です。咳、鼻水、咽頭痛のない高熱はインフルエンザではないと考えます。
じゃあ、どんな病気があるのでしょうか。

9歳の子供です。 風邪症状、熱なしで昨日病院でジスロマックを処方されました。 ..