そのため、抗がん剤治療を行う上では、悪心・嘔吐をすることが重要です!!!


近年,多受容体作用抗精神病薬(MARTA)であるオランザピンが,高度および中等度リスク抗がん薬による遅発期での悪心・嘔吐のコントロールに有用であるとの報告が多くなされている。わが国においても臨床試験結果が順次報告されており,欧米でのコンセンサスや,臨床的意義から2017 年6 月から標準的制吐療法に併用として使用できるようになった(→, 参照)。遅発性悪心・嘔吐の制御を行うための有効な薬剤としてわが国でのさらなる研究が期待される。


薬剤師のためのBasic Evidence(制吐療法) | 日医工株式会社

高度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として,5-HT3 受容体拮抗薬とNK1 受容体拮抗薬およびデキサメタゾンの3 剤併用療法に加えて,オランザピンを追加・併用することを強く推奨する(→ 参照)。ただし,本邦では糖尿病患者へのオランザピン投与は禁忌であるため,糖尿病患者においては従来の3 剤併用療法を行う。

ランダム化比較試験は行われておらず,一般的には軽度リスク・最小度リスク抗がん薬に対して制吐薬は推奨されない(参照)。

悪心・嘔吐のメカニズムの解明に伴って,制吐薬が開発されてきた.1960年代には抗ヒスタミン作用と鎮静作用をも

CINVに関して、製剤は、CNSに存在するカンナビノイド-1(CB-1)およびCB-2の受容体を標的としていると推定される。

このクラスの薬剤に関する研究の多くが1970年代後半および1980年代に行われたもので、プロクロルペラジン(Compazine)およびメトクロプラミド(Reglan)など、ドパミン受容体を標的とした従来の制吐薬に対してナビロン、ドロナビノール、またはlevonantradolが比較された。この一連の研究で、カンナビノイドは中等度催吐性の化学療法に対する効果がドパミン作動性制吐薬と同程度であるか、プラセボより有効なことが実証された。副作用には、多幸感、めまい、不快気分、幻覚、低血圧などがあった。少なくとも1件の研究で効力が古くから報告されていたにもかかわらず、副作用のためにナビロンを積極的に好む患者はいなかった。

投与していない別の作用機序をもつ制吐薬(ハロペリドール,メトクロプラミド.

今回,推奨の根拠となるエビデンスがない制吐療法については,患者の価値観・好みも考慮のうえ,実臨床で行われている制吐療法について記述した(→ 参照)。

吐き気なしを経験する患者の割合は、オランザピン群の方がプラセボ群よりも初期(74% vs 45%;P = 0.002)、晩期(42% vs 25%;P = 0.002)、および全体(37% vs 22%;P = 0.002)の期間を通して有意に高かった。CR(嘔吐なし、レスキュー不要)率および臨床的に著明な吐き気が認められないこと(0~10の視覚的アナログスケールで3未満のスコア)もまた、すべての期間でオランザピンの追加により有意に改善された。オランザピンを投与された患者は、ベースライン時から2日目に鎮静の増加を報告したが、これは3~5日目に軽減された。これらのデータおよび追加の臨床試験に基づいて、オランザピンは、催吐性が高度および中等度の化学療法を受けている患者における急性および遅発性のCINVの制御に安全で有効なようである。

突出性悪心・嘔吐に対しては作用機序の異なる薬剤を投与することが好ましい 7)。

高度催吐性リスク抗がん薬に対する予防的制吐療法については,前版一部改訂版(ver.2.2)では,NK1 受容体拮抗薬,5-HT3 受容体拮抗薬およびデキサメタゾンの3 剤併用療法を推奨グレードA として提示しており,オランザピンの追加・併用については,「本邦における推奨用量,使用方法についてはまだ検証段階であるため,適切な患者に慎重に投与することが望まれる」としていた。一方,NCCN ガイドライン2017,ASCO ガイドライン2017 では,オランザピンを含む4 剤併用療法が推奨として追加された。今回,本邦において実施されたランダム化第Ⅲ相比較試験が報告され,より適正な制吐療法およびそのオプションの提示が必要と考えられ,本CQ を設定した。

軽度催吐性リスク抗がん薬の急性期悪心・嘔吐についての明らかなエビデンスはないものの,実臨床では,デキサメタゾン3.3~6.6 mg 静注(または4~8 mg 経口)の単剤投与,5-HT3 受容体拮抗薬の単剤投与,状況に応じて,ドパミン(D2)受容体拮抗薬の投与が広く行われている。最小度催吐性リスク抗がん薬の急性期の悪心・嘔吐に対する予防的制吐療法は基本的に不要とされている。


[PDF] 選択的NK1受容体拮抗型制吐剤 アプレピタントカプセル

アプレピタントとデキサメタゾンの併用もしくはアプレピタント単独投与の遅発性嘔吐に対する有用性もNCCN ガイドライン2017 や,レビューで示されている。個々の臨床試験では,中等度リスクに対するアプレピタントを含む3 剤の効果をみたランダム化比較試験がある。現在は高度リスクに分類されるAC 療法が約半数含まれている試験であるが,AC 療法以外の中等度リスクにおいても一次評価項目である「5 日間嘔吐なし」の割合が有意にアプレピタント群で高かった。ただし,これはサブグループ解析である点に注意が必要である。わが国でも,二重盲検ではないことに留意する必要があるが,オキサリプラチンベースの抗がん薬を用いる大腸がん症例において,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの併用療法にアプレピタント/ホスアプレピタントの上乗せ効果を,全期間および遅発期における嘔吐制御割合で証明した第III相ランダム化比較試験(SENRI 試験)の報告がある。さらに,AC 療法を除外した中等度リスク対して第1 世代5-HT3受容体拮抗薬(オンダンセトロン,1~3 日目),デキサメタゾン(1日目のみ)の2 剤併用群に対してホスアプレピタント併用の効果を見たランダム化比較試験がある。7 割以上の患者においてカルボプラチン,オキサリプラチンを含むレジメンが使用されていた。ここでは対照群のオンダンセトロン(1~3 日目),デキサメタゾン(1日目のみ)の2 剤併用群に比べて,主要評価項目である完全嘔吐制御割合が3剤併用群で有意に高かった(77.1% vs. 66.9%)。

(Cyclophosphamide)という2種類の異なる作用機序の抗がん剤を組み ..

1件のランダム化二重盲検第III相試験により、催吐性が高度の化学療法に関連するCINVの予防について標準的な制吐薬に加えるオランザピン vs プラセボが評価された。[証拠レベル:I]別の薬剤を併用するまたは併用しないシスプラチンを少なくとも体表面積(BSA)1m2当たり70mg、またはシクロホスファミド BSA1m2当たり600mgと併用するドキソルビシン BSA1m2当たり60mgのいずれかを投与された化学療法未治療患者が、ガイドラインに基づく制吐薬と1~4日目にオランザピン、10mg、経口投与またはマッチさせたプラセボを受けるようにランダムに割り付けられた。制吐薬レジメンには、NK-1受容体拮抗薬(ホスアプレピタントまたはアプレピタント)、5-HT3拮抗薬(パロノセトロン、グラニセトロン、またはオンダンセトロン)、およびデキサメタゾン、1日目に12mgに続いて2~4日目に8mg毎日経口投与が含まれた。患者は、性別、化学療法レジメン、および選択された特異的5-HT3受容体拮抗薬で層別化された。主要エンドポイントである、吐き気なしは0~10の視覚的アナログスケールでスコア0として定義され、化学療法後に次の3つの期間で評価された:

時には、作用機序の観点から、傾眠、鎮静、めまい、頻脈、起立性低血圧等の有害事象が多

本CQ では,高度催吐性リスク抗がん薬による治療を受ける患者を対象に,悪心・嘔吐予防として,4 剤併用療法(5-HT3 受容体拮抗薬+NK1 受容体拮抗薬+デキサメタゾン+オランザピン)と3 剤併用療法(5-HT3 受容体拮抗薬+NK1 受容体拮抗薬+デキサメタゾン)を比較した際の「血糖上昇」「嘔吐抑制」「悪心抑制」「有害事象」「コスト(薬剤費)」の5 項目をアウトカムとして設定し,システマティックレビューを行った。

相補的な作用機序をもたらす。また、5-HT3 受容体拮抗薬およびコルチコステ

5-HT3受容体拮抗薬もしくはデキサメタゾンとの併用は,各単独療法と効果に差はなく,費用対効果において5-HT3受容体拮抗薬の有用性は疑わしいとされている(パロノセトロンはこの検討に含まれていない)。しかし,肝炎などでデキサメタゾンが使用できない場合は,5-HT3受容体拮抗薬を用いることもある。さらに遅発性嘔吐におけるパロノセトロン単独投与の有用性をdolasetron との比較で明らかにした第III相ランダム化比較試験の結果もあり,遅発性嘔吐に対するパロノセトロン単独使用は,現時点ではオプションの一つと考えられる(なお,ここでいう単独療法とは遅発性嘔吐に対するものであり,急性嘔吐に対する薬物療法に関しては を参照されたい)。5-HT3受容体拮抗薬と副腎皮質ステロイドは制吐効果,QOL 改善効果において同等であると報告した第III相ランダム化比較試験もある。MASCC/ESMO ガイドライン2016,ASCO ガイドライン2017 では,中等度リスク抗がん薬による遅発性嘔吐に対して,前述したパロノセトロンとデキサメタゾンの併用療法が推奨されている(参照)。

ロイドであるデキサメタゾンのシスプラチン誘発性の急性および遅延性の嘔吐

複数の受容体、特にN&Vに関与していると考えられるD2および5-HT3受容体におけるオランザピンの活性から、オランザピンがかなりの制吐作用を有する可能性があることが示唆されている。[証拠レベル:II]その後の研究により、CINVの制吐薬としてのオランザピンの有効性が示されている。[証拠レベル:II]1件の大規模研究[証拠レベル:I]により、催吐性が高度または中等度の化学療法を受けている患者において、アザセトロンおよびデキサメタゾンへのオランザピンの追加により、遅発性のCINVのCRが改善したことが実証された。

さらに、作用のメカニズムが違うステロイド剤のデキサメタゾン(商品名 ..

要約すると、CINVの予防および治療に対する制吐薬として、現在の製品群におけるおよびカンナビノイドの位置付けは不明である。この薬剤の患者に対する使用説明には、利用可能な薬剤の効果、の既知の副作用、およびこの治療のリスク対ベネフィット評価を含めるとよい。

基本的には、手術終了時やその終了直前に制吐剤投与を行いますが、デキサメタゾン ..

特に副作用に関しては、その発生メカニズムや対処法を詳しく説明します。また、自己判断によるステロイド薬の減量や中断が悪化を招く可能性についても、患者や家族に納得いくまで説明します。

器症状(悪心・嘔吐) 16 外科疾患 副腎摘除、副腎皮質機能不全患者 ..

最小度催吐性リスク抗がん薬に対する制吐療法についてはさらにエビデンスが乏しく,予防的制吐療法を推奨するエビデンスはないが,必要時には適切な制吐療法を行う。

悪心の誘発機序について嘔吐と明確に区別して解明することを目的としてラットを用 ..

ショウガのCINVの予防に対する効力に関しては、データが分かれている。576人のがん患者を対象にした第III相ランダム化用量決定試験では、5-HT3受容体拮抗薬による標準的な予防を行っているにもかかわらず、現在の化学療法レジメンによってある程度の吐き気(11段階の尺度で測定)を経験している患者において、急性の吐き気(化学療法後1日目の吐き気と定義)を予防するために1日2回投与するショウガ0.5g、1.0g、および1.5g vs プラセボが評価された。患者には各化学療法治療の3日前にショウガまたはプラセボのカプセルの投与が開始され、6日間継続された。平均的な吐き気については、0.5gのショウガがプラセボよりも有意に優れていた;「最悪の吐き気」に対しては0.5gおよび1.0gの両方が、プラセボよりも有意に優れていた。遅発性のN&Vに対する効果は有意ではなかった。この試験では、化学療法レジメンの催吐性に対して対照を設けていなかった。有害事象の頻度は低く、重度ではなかった。これとは逆に、N&Vの予防に用いられるショウガについて有望なデータは得られていない。1件のランダム化二重盲検プラセボ対照研究により、高用量のシスプラチン(50mg/m2を超える)を受けている患者において、ショウガ、160mg/日の使用が評価された。患者(N = 251)はショウガまたはプラセボのいずれかを受けるように割り付けられた。遅発性の吐き気、サイクル間の吐き気、および予測性の吐き気の発生率は、2つの治療群間で変わらなかった。

・, オピオイド、NSAIDs、抗生物質、ジギタリスなど催吐作用のある薬剤

【参照】 2015ASCO 総会で報告された乳がんに対するアントラサイクリン系抗がん薬とシクロホスファミドを含むレジメンに対するデキサメタゾン/ホスアプレピタント併用下でのグラニセトロンとパロノセトロンの比較を行ったわが国の第III相ランダム化比較試験(WJOG6811B 試験)では,主要評価項目である遅発性悪心・嘔吐の完全制御割合において両群間に有意差は認められなかったが,二次評価項目ではパロノセトロン群が遅発期において有意に悪心を抑制した。