本邦で、2011年〜2012年にかけて、マイコプラズマ肺炎の流行期がありました。


最近マクロライドが効かないマイコプラズマが急増して小児科医は困っています。マクロライド系抗生剤が効かない耐性マイコプラズマが現在では50~80%にもなり、マイコプラズマ肺炎の治療が年々難しくなってきています。これはマクロライドなどの抗生剤に本来効果がないカゼや効果が不明な副鼻腔炎や滲出性中耳炎の治療にマクロライドの使用が増えたためです。


マイコプラズマ治療薬の投与期間については、以下を参考にしてください。

今回, そのようなネットワークで単一医療機関におけるマクロライド耐性マイコプラズマ重症肺炎の症例集積を探知した。国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース研修員が週1回, 小児感染症診療に従事する有志のネットワークでunusual/unexpectedな症例について臨床像や治療経過の議論をしている(個人情報は含まない)。その議論を通じて, 東京都立小児総合医療センター(以下, センター)において, 2023年12月1日~2024年1月31日までに集中治療を要するマイコプラズマ肺炎が3例集積し, これらの症例すべてで検出されたMycoplasma pneumoniaeM. pneumoniae)がマクロライド耐性であることが判明した()。以下に症例の経過を抜粋する。

ニューキノロン系抗菌薬は「合成抗菌薬」とも呼ばれ、化学的に作られた抗菌薬になります。
合成抗菌薬の中でもニューキノロン系は殺菌作用が強く、濃度依存型の薬になるので服用量が多いほど殺菌効果が高まります。

なおジスロマックは内服薬のため、性器だけでなく咽頭クラミジアにも有効です。

2000年以降に小児科領域を中心に出現したマクロライド耐性M. pneumoniaeは, その後増加がみられ, 成人では当初マクロライド耐性株は検出されなかったが, 小児科領域を追随するペースで耐性株が増加した。2011~2012年の流行時には, 83%がマクロライド耐性であったとの報告2)があり, 大流行に関してマクロライド耐性M. pneumoniae株の蔓延が要因の1つと認識されている。マクロライド耐性率は, 2012年をピークに低下傾向にある。一方, M. pneumoniaeは, P1タンパク遺伝子の相違により, 1型, 2型系統に分類され, 1型系統と2型系統の交代期に大流行が起こる可能性も指摘6,7)されている。2011~2012年にかけて流行の主であった1型系統の検出比率が2015年後半より減少し, 代わって2型系統の検出比率が増加している。1型系統はマクロライド耐性遺伝子の保有率が高かったが, 2型系統の耐性遺伝子保有は低率である7)。これが, マクロライド耐性株の低下の主因と考えられる。

2歳女児。基礎疾患に超早産児, 慢性肺疾患がある。入院5日前より発熱, 咳嗽があり, 呼吸状態が増悪しセンターを受診した。小児集中治療室(PICU)に入院し, 気管内挿管による人工呼吸器管理を開始した。入院時の呼吸器マルチプレックスPCR検査(以下, FilmArray®呼吸器パネル2.1)でM. pneumoniaeが陽性であったことからマイコプラズマ肺炎と診断し, アジスロマイシン静注で治療した。検出されたM. pneumoniaeはのちに全自動遺伝子解析装置(以下, Smart Gene®)でマクロライド耐性と判明した。

そのため、マイコプラズマの治療には抗菌薬(こうきんやく)を使用します。

15歳女子。生来健康。入院6日前より発熱, 咳嗽があり, 呼吸状態が増悪したことからセンターを受診し, PICUに入室した。FilmArray®呼吸器パネル2.1でM. pneumoniaeが陽性でマイコプラズマ肺炎と診断し, 市中肺炎としてアジスロマイシンとアンピシリンの静注を開始した。入院4日目に呼吸状態が増悪し, 気管内挿管による人工呼吸器管理を開始した。Smart Gene®でマクロライド耐性と判明したため, レボフロキサシン静注へ変更し, 全身ステロイド薬を併用した。

3歳男児。基礎疾患に21トリソミー, 先天性心疾患がある。入院7日前より発熱, 咳嗽があり, 努力呼吸が出現しセンターを受診した。FilmArray®呼吸器パネル2.1でM. pneumoniaeが陽性となったことからマイコプラズマ気管支炎と診断した。呼吸状態が増悪したため入院2日目にPICUに転棟し, 入院3日目にSmart Gene®でマクロライド耐性と判明した。高流量酸素投与による呼吸管理とレボフロキサシン静注で治療した。
なお, 小児のレボフロキサシン使用は添付文書上禁忌だが, 院内の倫理委員会で承認を得て, 保護者に同意を取得のうえで使用した。

マイコプラズマ感染症という診断がつけばたいていは抗菌薬で治療します。

なお、ニューキノロン系抗菌薬についても、マクロライド系抗菌薬と同じように耐性菌が今後増えてくると予想されています。
ただ、男性尿道炎の初期治療でニューキノロン系抗菌薬を使用したところ、マクロライド系抗菌薬の耐性率が明らかに減少したとの報告もあります。
こうした報告からも、どの抗生物質を使用するかは医師の指示に従うようにしてください。

マイコプラズマに対しては2週間以上の長期服用が推奨されているため、飲み忘れなどにより治療効果を不安定にさせないことが大切です。


pneumoniaeが陽性であったことからマイコプラズマ肺炎と診断し, アジスロマイシン静注で治療した。検出されたM

マイコプラズマ肺炎は感染症発生動向調査における5類感染症(定点把握)に位置付けられ, 全国約500カ所の基幹定点医療機関から週ごとの性別・年齢群別の患者数が報告される。報告内容には重症度や薬剤感受性検査の結果は含まれない2)。一般的に軽症が大半で, 人工呼吸器管理や集中治療管理を要するような重症例は稀である。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が開始した2020年以降, 報告数は激減し, 2023年11月末までは報告数が少ない状況で推移していた2)。また, 国内の研究報告によると, 病原体であるM. pneumoniaeは2012年頃にマクロライド耐性率が80-90%と非常に高値を示したが, その後は漸減し, 2018~2020年は20-30%程度で推移した2)。一方で2023年7月以降, 中国や欧州を中心にマイコプラズマ感染症患者数が増加し3), 特に近年の中国におけるM. pneumoniaeの大部分がマクロライド耐性と報告された4,5)ため, 本邦におけるマクロライド耐性マイコプラズマ肺炎の発生動向が注目されていた。基幹定点医療機関からの報告数が減少している中で, 重症のマクロライド耐性マイコプラズマ肺炎が短期間に単一医療機関で3例集積したことから, 全国での重症度の高いマクロライド耐性M. pneumoniae感染症の発生が懸念された。

[PDF] マイコプラズマ肺炎流行に対する日本小児科学会からの注意喚起

マクロライド耐性M. pneumoniaeの検出率には世界的に地域差があり, 東アジアでの検出率が高く, 2017年頃までの状況は, Waitesらの総説1)に詳しい。その後のメタアナリシス等の報告を8,9)に示すが, アジアを含めて西太平洋地域からの検出率が高い。わが国を含めて, 2010年代後半以降のマクロライド耐性率は減少傾向7)にある。

[PDF] 「マクロライド耐性マイコプラズマは何故生まれたか?」 を考える

現在、成人のマイコプラズマ肺炎は、かつての流行期に比べると減少しましたが、特に小児とのシックコンタクトがある市中肺炎で時に遭遇します。

[PDF] 肺炎マイコプラズマ感染症の検査 -マクロライド耐性 ..

近年、マクロライド耐性マイコプラズマが小児で増加していることもあり、成人でもマクロライド耐性マイコプラズマを肺炎の起炎菌として考慮すべき場合があります。

最近では、マイコプラズマ菌がマクロライド系抗生物質に対して耐性を持つケースが増加しています。

現在のマイコプラズマ治療では耐性菌の割合が高いことから、治療が長引くケースも増えています。
そのため、治療後の再検査で「陰性(感染していない)」の判定が出るまでは医師の指示に従い治療を続けてください。
なお、フィットクリニックでは「感染確認検査」と「治癒検査(再検査)」の両方を実施しております。
疑わしい症状から複数の性感染症を調べることもできるので、性器に異常があったり、不安が残る行為があった場合には当院までお気軽にお問合せください。

市中肺炎が院内肺炎や医療・介護関連肺炎と大きく異なる点は、原因微生物の違いで、市中肺炎では非定型病原体(肺炎マイコプラズマ ..

近年、マクロライド耐性マイコプラズマが増加した原因として、マクロライド系抗菌薬の使用増加が一因の可能性がある。安易なマクロライド系抗菌薬の使用は慎むべきである。

しかし、マクロライド耐性マイコプラズマが存在しているため、2~3日使用しても効果が得られない場合には、別の薬剤への変更を考慮します。

マイコプラズマの治療に用いる治療薬は、いずれも「医療用医薬品」となります。
医師の診断に基づいた処方が必要になるため、。
必ず医療期間に受診し、性器に出ている症状や検査結果から原因にあった適切な抗生物質の処方を受けるようにしてください。

[PDF] 7. 肺炎球菌ワクチンとマクロライド耐性マイコプラズマ

テトラサイクリン系、キノロン系薬剤は、マクロライド耐性マイコプラズマにおいても有効である。

肺炎球菌はどのように進化していくのか? アジスロマイシンはマイコプラズマ耐性に関与しているのか? Page 2

抗生剤の投与を5日間待つのは初期にはマイコプラズマと区別ができないカゼに抗生剤を投与することを避けるためです。また、この時期に抗生剤を投与しても肺炎になるのを防げないからです。

マクロライド耐性率の低下と適正診療の確立 (小児科 59巻1号) | 医書.jp

昨年から今年にかけてマイコプラズマ肺炎が流行しています。マイコプラズマ肺炎は、名前のとおり、マイコプラズマという細菌によって起こります。

マクロライド系ではジスロマックが耐性の原因で、クラリスより変異が⼊り易く耐性菌増.

また、耐性マイコプラズマであっても、マクロライド系薬剤で基本的には治癒が得られる事もあり、マイコプラズマ肺炎に対する第一選択は、AZMと考えられる。

小児におけるマクロライド高度耐性・肺炎マイコプラズマの大流行.IASR‌.

また、他の感染症など過去の治療で服用していた抗生物質が手元に余っていても、マイコプラズマの治療薬に代用することはできません。
マイコプラズマに有効とされている抗生物質の種類は限られており、むやみな抗生物質の使用は耐性菌を増やしかねないので、併せてご注意ください。

ジスロマックなどのマクロライド系抗生物質が効かない耐性株が増えており、ミノマイシンやニューキノロン系薬剤が第一選択となる場合が多いです。

ただ、本来は特効薬であるはずなのマクロライドに効果が低い、もしくは効果がない耐性菌であるマイコプラズマが出現しています。