基本的にエビリファイは、うつ病に対して最初から用いるお薬ではありません。
これを、うつ病の治療に置き換えると、抗うつ薬は、抗生物質と同じように、根本的な治療と言えます。前述したように、うつ病の本質的な成因に対して有効な治療だからです。一方、うつ病に対して、マイナートランキライザーを服用する、というのは、肺炎に対して消炎鎮痛剤を飲むのと同じです。一時的に症状を和らげますが、うつ病を根本的に治すわけではありません。おそらく、精神科の薬物療法を否定される方は、精神科の薬は全て「消炎鎮痛剤(≒マイナートランキライザー)」のようなものだと思われているのだと思います。しかし、抗うつ薬は違います。肺炎における抗生物質のように本質的に有効です。ですから、もし、うつ病と医師から診断されたならば、抗うつ薬はぜひ飲んでいただきたいと思います。
エビリファイの作用について、他の抗精神病薬と比較してみましょう。
入院5日目
終日鼾をかき眠っている。
覚醒時は上肢の振戦著明。
嚥下困難で食事は2~3割程度介助にて摂取。錐体外路症状の改善不十分である為、カタプレス追加処方し、レボトミン減量した。
処方
1)バレリン(200mg) 6T
リボトリール(1mg)3T
カタプレス(0.075mg)3T 分3 毎食後
2)レボトミン(5mg) 1T
ニトラゼパム(10mg)1T 分1 就床前
11日目
ナースステーションの前をウロウロ行ったり来たりする。
看護師が「どうしましたか?」と尋ねても返答しない為、「口に出して言わないと分かりませんよ」と返答を促すと、「外を歩きたい」と発語あり。
看護師同伴で近くの海岸まで散歩に出掛ける。
散歩の帰りに病院体育館に寄ると、卓球台を見つめるため、卓球に誘うと応じた。
エビリファイの副作用について、他の抗精神病薬と比較してみましょう。
入院10日目
車椅子に乗車している。
不随意運動は全く認められない。
立位を取るように指示すると、テーブルに手を付き、立位は取れるが、歩行不能。
以後不随意運動の再現はないが、歩行困難で、歩行器を使い、歩行練習を行って貰う。
しかし、歩行動作は不安定でやや右に傾く様子(ジストニア)認められる。
抗精神病薬はそれ以外にも、うつ病の増強療法で使われることも多く、エビリファイがその代表です。気分安定作用があるといわれています。このため、双極性障害のように気分の波がある病気に使われることも多いです。気分安定薬に比べると効果が早いですが、鎮静作用によって眠気が生じたり、体重増加の副作用が多いです。エビリファイの他には、セロクエル、ジプレキサ、リスパダールなどが使われます。
それ以外にも、イライラや興奮を落ちつけて衝動性を抑える、食欲を増加させる、睡眠を深くする、抗うつ剤の効果を増強する、といった目的で使われます。
このようにエビリファイでは、眠気と不眠のどちらも生じることがあります。
ここでもまた、うつ病に対する薬の使い方を中心に述べたいと思います。図に簡単にまとめてみました。まず、見ていただきたいのは図の一番下です。図では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と書いてありますが、ほとんど全ての抗うつ薬で、同じような処方の仕方をします。すなわち、「少量から始めて漸増し、可能な限り最大容量まで増量し、良くなってからも、しばらくは同じ量で飲み続ける」というものです。薬によっては、「なるべく少量ですめば、そのほうが良い」というものもあります。睡眠薬やマイナートランキライザーは、その代表でしょう。しかし、抗うつ薬は違います。一旦使うと判断したら、十分な量を飲んでいただくほうが良いのです。それも十分な期間、飲む必要があります。そうしないと症状が十分に治りきらないのです。患者さんによっては、来院されて2回目、3回目の時に、少し改善感があるのにもかかわらず、なお抗うつ薬を増量することに抵抗があるかもしれません。しかし、現代の薬物療法では、「抗うつ薬は、多少の改善が得られたにせよ、十分な回復が得られるまでは増量し、できるだけ、その薬の最大服用量まで飲んでいただく」といった原則があるとご承知置きいただき、処方通り飲んでいただきたいと思います。
16日目
アカシジアが持続するため、セドリーナを追加処方した。
処方
エビリファイ3mg 1錠 1日2回 夕食後
セドリーナ(2mg)2錠 1日2回 朝・夕食後 (1回1錠)
レクサプロとエビリファイについて | 医師に聞けるQ&Aサイト
エビリファイは製品名で、その主成分はアリピプラゾールです。アリピプラゾールは抗精神病薬として、特に統合失調症や双極性障害の症状のコントロールに使用されます。また、自閉症スペクトラム症の患者によっては、攻撃的な行動や自己刺激行動といった特定の行動の問題に対する症状緩和にも使われているのです。
しかし、うつ病にエビリファイが用いられるケースは少なくありません。エビリファイをうつ病に用いる判断は、医師によってそれぞれ考え方があるため、「こういったうつ病にはエビリファイが効く!」と明確に決まったものはありませんが、ここでは私見も含めてになりますが「エビリファイを処方されるのはこんな時」というものを紹介します。
抗精神病薬; 総称名:エビリファイ; 一般名:アリピプラゾール; 販売名:エビリファイ内用液0.1%; 製造会社:大塚製薬.
まずは上からメジャートランキライザー。強力な精神安定剤のことです。それに対して、穏やかな安定剤というのが、マイナートランキライザーです。これを皆様に説明する時は、「抗不安薬」と呼ぶのが最も正確とは思うのですが、つい私は、「安定剤」と呼んでしまいます。 さてその下の抗うつ薬は分かりやすいですね。その次は気分安定薬ですが、これは「落ち着かせる」という意味の安定ではなく、 躁うつ病の大きな気分の波を抑えて安定化させるという薬です。英語では、「ムードスタビライザー」と言います。前述のメジャーやマイナーは正式には「トランキライザー(トランクゥイル=静穏)」いうのですが、英語にすると、その違いが、より分かりやすいと思います。 なお、この表には、当院でよく使う個別の薬の名前も挙げておきました。次に薬の使い方について述べたいと思います。かなり以前は、だいたい、メジャートランキライザーは統合失調症の薬、マイナートランキラーザーは不安障害の薬、などと、薬とそれを使う病気とは1対1で決まっていました。しかし、最近では、かなり薬物療法が変化しており、この一対一対応が崩れてきました。
【まとめ】抗うつ剤のリアルな使い心地:レクサプロ・プロザック・エビリファイ・ゾロフト・ドグマチール・エフェクサ.
さて、図4に戻りますが、「寛解」という言葉があることにお気づきでしょうか。「寛解」という言葉は「薬を飲んではいるが、ほぼ元の状態まで回復した状態」という意味です。患者さんご自身は、「もう良くなった」と思われるでしょう。しかし、薬はこの時期以降も飲み続けていただきます。というのは、うつ病というのは極めて再発が多い病気だからです。特に、寛解後の数カ月が最も再発の危険性が高いと言われています。ですから、寛解のあと、しばらくの間は、抗うつ薬は最大量のまま飲み続けていただきます。さて、これまで、うつ病についてお話ししてきましたが、他の病気でも、「(マイナートランキラーザーや睡眠薬以外は)使うのであれば十分量の薬を使う」、という原則は変わりません。双極性障害(躁うつ病)では気分安定薬を飲んでいただきますが、気分安定薬の量も、抗うつ薬と同じように十分な量まで増量する必要があります。また、最近は、不安障害に対して、SSRIという抗うつ薬を用いることが多いのですが、その際に服用していただく量も期間も、うつ病とほぼ同様です。いずれにせよ、メンタルクリニックの薬は、少量を漫然と飲んでいるだけでは、あまり意味がありません。
エビリファイ(アリピプラゾール) · レキサルティ(ブレクスピプラゾール ..
診療のポイント
躁うつ病を発症し過去14年間の薬物療法中に、薬剤性パーキンソン症候群(アカシジアを含む)、遅発性ジスキネジアなど錐体外路症状が散見されたが、その都度の薬物調整で錐体外路症状はコントロール可能で、外来通院を継続できた。糖尿病を合併している為、非定型抗精神病薬の選択肢は限られた。こうした中で、錐体外路症状惹起作用の少ないアリピプラゾールは選択可能な抗精神病薬と考えられ、処方してきた。ところが同薬を12mgに増量したところ、激しい錐体外路症状(遅発性ジスキネジア・ジストニア)を発症し、ジストニアによる歩行困難の為、67日間の入院加療を余儀なくされた。薬物療法には難渋したが、遅発性錐体外路症状の治療薬である、リボトリール・カタプレスの併用と気分安定薬はバレリン単剤とし(⇒)、少量のレボメプロマジンを併用する事で遅発性錐体外路症状は消褪し、躁状態も安定した。
長期間薬物療法の継続を必要とする双極性障害の薬物療法は、錐体外路症状を惹起し易いので、気分安定剤と抗精神病薬を適切に選択する事がポイントをいえよう。
レクサプロ他)などの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI ..
同12月
手指振戦、遅発性ジスキネジア共に消失した。
以後安定。
62歳3月
「夜間家の中に人が入って来る感じがして、殺気を感じる」と妻に訴え、夜中にウロウロする為、エビリファイ6mg追加処方した。
その中で薬物治療においては、エスシタロプラム(レクサプロ)が他 ..
三環系抗うつ薬は効果が強くてしっかりと効いたのですが、副作用も強いのが難点でした。
レクサプロ, エスシタロプラム, SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)
【入院治療経過】
入院日
急性期治療病棟閉鎖サイドに医療保護入院。
独歩で穏やかに入室。主治医が看護師同伴で訪室するとベッドに腰掛けている。エビリファイ3mg1錠を看護師から手渡して服用を促すが、体を捻り後ろ向きとなり拒否する。
内服での治療不能と判断し、ハロマンス(50mg)1Aを筋注した。
エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)について解説します。統合失調症や双極 ..
薬物療法
抗精神病薬に関してはアカシジアとの関連で、エビリファイ1.5mgから6mgまで増減したが、1.5mgでは疎通不良となり、6mgではアカシジア出現する為、最終処方(入院71日目)は以下とした。。
精神科医がレクサプロ(一般名:エスシタロプラム)について解説します。
アリピプラゾール(エビリファイ)は、ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用、ドパミンD3受容体部分アゴニスト作用、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用及びセロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用を併せ持つ薬剤である。明確な機序は不明であるが、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられている。
エビリファイはすでに服用している抗うつ薬によって十分な効果が認められない場合に対して、それらの抗うつ薬と 一緒に服用するお薬です。
エビリファイ(3mg)1T (抗精神病薬)
レクサプロ(10mg) 1T (抗うつ薬:こだわり改善目的)
リボトリール(1mg)1T (自律神経発作治療薬:不安改善目的)
セドリーナ(2mg) 1T (抗パーキンソン薬:アカシジア改善目的)
1日1回 朝食後
[PDF] 新たに向精神薬に指定される内服薬の投薬期間について(案)
抗うつ剤だけでは十分な改善が得られない場合は、増強療法としてエビリファイも検討されます。
薬物相互作用検索ツール | ゾコーバ | 塩野義製薬 医療関係者向け情報
双極症に対しての投与が認められている薬剤は、オランザピン(ジプレキサ)、ビプレッソ、エビリファイ(アリピプラゾール)、ラツーダです(日本うつ病学会治療ガイドラインⅠ.双極性障害 2020 では、オランザピン、リスペリドン、パリぺリドン、アセナピンといった非定型精神病薬(第2世代抗精神病薬)やチミペロン、ゾテピンなどの定型抗精神病薬(第1世代抗精神病薬)も使用されることがありますが保健適応外のため今回は省略します)。