百日咳は、百日咳菌が鼻やのどの粘膜に感染することで起こります。
百日咳は特に小さい赤ちゃんが罹ると重症化することがある感染症で、百日咳菌が原因です。
百日咳は、主に3期に分けられ、それぞれに特徴的な症状が見られます。
標準的な小児予防接種の一環として、百日咳に対する予防接種が世界的に行われています。わが国では従来の定期接種であった沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DPT)に加え、2012年11月から不活化ポリオワクチン(IPV)を加えたDPT-IPV(四種混合ワクチン)が定期接種に導入されました。四種混合ワクチンのスケジュールは、定期接種として生後3か月以上90か月未満で4回接種します。
百日咳に対する治療では、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬が使われ、特に早期のうちに使うと有効です。
百日咳は、百日咳菌の感染により起こり、特徴的な咳が長く続きます。
百日せきワクチンの免疫効果は4-12年で減弱するとされており、乳児期の百日咳ワクチン接種のみでは乳児期以降の小児、成人での免疫が低下するため、これらの年齢層がワクチン接種できない乳児への感染源となっています。乳児の感染は、ほとんどが近親者からの感染です。米国での報告によると、1歳未満乳児での百日咳患者の感染源を調査したところ、66%が家族からの感染で、35.5%が兄弟、20.6%が母親、10.0%が父親であったとされています。
百日咳菌の検査として、培養検査、遺伝子検査、血清学的検査があります。
そのため、心配な方は百日咳のワクチンの追加接種をしておくとよいでしょう。
潜伏期は5~21(多くは7~10)日で、症状は3つの期間にわけることができ、それぞれ約2週間持続します。①カタル期:鼻水・くしゃみ・咳・涙目などを認めます。②痙咳(けいがい)期:速くて頻回の咳を繰り返し(スタッカート)、咳の終わりには特徴的な高音を伴った長い息の吸い込みを認めます(笛声:whoop(フープ))。一連の咳発作(レプリーゼ)は夜間に強く、咳込みによる嘔吐、チアノーゼ、顔面潮紅(顔が赤くなる)、眼の腫れを認めます。乳児期早期では特徴的な咳がなく、単に息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ、けいれん、呼吸停止と進展することがあります。③回復期:咳は発作的ではなくなり、回数も減りますが場合によっては数ヶ月間続くことがあります。生後6ヶ月未満の乳児では入院が必要なことが多く、生後2ヶ月未満の児では重症化し命に関わる場合があり注意が必要です。
2017年(平成29年)12月31日までは、指定届出機関(全国約3,000カ所の小児科定点医療機関)が週毎に保健所に届け出なければならない定点報告対象(5類感染症)であったが、2018年(平成30年)1月1日から、適切な検査診断で百日咳と診断された症例は年齢を問わず全数把握疾患として報告する、との改正が施行された。なお、検査確定例との疫学的リンクが明らかな場合は、特徴的な臨床症状で診断される場合がある。また、百日咳類縁菌を起因菌とする症例は届出基準から除外となっている。医師は、都道府県知事に対して、患者の年齢、性別等を7日以内に届け出なければならないことが定められた。届出基準は
百日咳は大人でも罹患するか?(一般)公益社団法人 福岡県薬剤師会
Pertussisは、ジュール・ボルデ (Jules Bordet) と オクターブ・ジャング (Octave Gengou) によって百日咳の症状を示す乳児の痰から分離され、1906年に報告されました。
好気性、オキシダーゼ、ウレアーゼ陽性で非運動性、新しく分離、培養する際には発見者の名前を冠したボルデ・ジャング培地(Bordet-Gengou medium:ポテト-血液-グリセリン寒天培地、BG培地)等を使用します。
発育はかなり遅く、35~37℃好気環境下で、周縁の丸いドーム状をした真珠様光沢のある特徴的なコロニーを認めるまでに3~4日を要します。
Pertussis toxin(PT:百日咳毒素)、Filamentous hemagglutinin(FHA:線維状血球凝集素)、Agglutinogens(凝集素:アグルチノーゲン2、3)、Adenylate cyclase(アデニル酸シクラーゼ)、Pertactin(パータクチン:69KD 外膜蛋白)、Tracheal cytotoxin(気管上皮細胞毒素)、Heat-labile toxin(HLT:易熱性皮膚壊死毒素)等の多彩な生物活性物質を産生し、またこれらが病原性を担っていると考えられています7), 8), 9)。
属は現在9菌種に分類されており10)、
診断は特徴的な症状から百日咳を疑い、血液検査で百日咳の抗体を測定したり、培養検査で百日咳菌が発育するかをみたりします。また、血液の中のリンパ球という種類の白血球の数が増えることも診断の参考になります。
百日咳なんかに負けないぞ!! ①概要 : このところ、幼小児だけではなく ..
百日咳菌()という細菌が原因の感染症です。名前の通り、長い間激しい咳が続くのが主な症状です。学校や幼稚園・保育所での集団感染や、地域において流行が発生することがあります。感染症法では2017年までは5類感染症定点把握対象疾患でしたが、2018年から5類感染症全数把握対象疾患となりました。また、学校保健安全法では第2種感染症に指定されており、百日咳と診断された場合は「特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬療法が終了するまで」は出席停止の扱いになります。
2024年第1~40週までに、神奈川県内では136例、全国では1,988例が届出されています。神奈川県では、5~8歳を中心に届出があります。
第82回 熱のない長引く咳は百日咳かも・・・ 2010/6/20
百日咳は百日咳菌によって引き起こされる感染症で、特有のけいれん性の咳が長く続くことが特徴です。乳児から成人までいずれの年齢でもかかりますが、特に乳児の場合重症化することがあり注意が必要です。
百日咳は百日咳菌が感染しておこる病気です。感染力は感染初期(咳が出現し ..
米国の年齢群別百日咳関連死における3か月以下の乳児は、1980~1989年で63.6%(49/77)、1990~1999年で81.6%(84/103)、2000~2009年で90.2%(175/194)と報告されています。百日咳ワクチン接種は世界各国で実施されており、その普及とともに各国で百日咳の発生数は激減していますが、いまだに全世界で問題となっています。
百日咳のための適切な抗生物質(エリスロマイシンやクラリスロマイシンなど)
感染した人のせきやくしゃみによって、唾液などの飛まつとともに放出された百日咳菌を吸い込み、のどや鼻の粘膜から感染します(飛まつ感染)。
百日咳菌以外にヒトに感染する百日咳類縁菌としてパラ百日咳菌とボルデテラ ..
治療は百日咳菌に効果があるマクロライド系の抗生剤(エリスロマイシン・クラリスロマイシンなど)を使用しますが、発症後時間が経ってしまうと効果が弱く、早期診断・早期治療が重要です。入院治療ではガンマグロブリン(感染症に対する抗体が含まれる治療薬)を使用する場合もあります。
【百日咳とは】 百日咳菌の感染による主に呼吸器系の感染症です。乳児 ..
百日咳は世界的にみられる疾患で、いずれの年齢でもかかりますが、小児が中心です。また、重症化しやすく死亡者の大半を占めるのは1歳未満の乳児、特に生後6か月未満の乳児です。2008年の推計で、世界の百日咳患者数は年間1600万人で、その95%は発展途上国の小児であり、百日咳関連死は19.5万人にのぼるとされています。
生後6ヶ月以上にはエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌剤(特にカタル期で有効)新生児
百日咳はワクチンで予防できる感染症です。四種混合ワクチンに百日咳に対するワクチン成分が含まれており、生後3ヶ月からワクチン接種が可能です。生後3ヶ月になったら、速やかにワクチン接種を開始しましょう。
いては百日咳が適応症として含まれている一方で、アジスロマイシンについては百日咳
培養検査は百日咳の病原体診断検査として長く用いられています。検査材料として、鼻咽腔からの吸引もしくはスワブ検体が用いられます。 ただし綿には百日咳菌発育阻害物質が含まれており、綿棒での採取検体では培養検査陽性率が著しく低下します。鼻咽頭用捲綿糸であれば検体採取は可能ですが、早急に培地への接種が必要です。百日咳菌の分離培養には特殊培地が必要です。Bordet-Gengou血液観点培地やRegan-Lowe培地などが用いられます。菌培養が陽性であれば、診断は確定となりますが、感染時の保菌量が多いとされる乳幼児でも菌分離成功率は60%以下と低く、ワクチン既接種者や菌量の低い成人患者からの百日咳菌分離はほとんど期待できません。菌はカタル期後半に検出されることが多いですが、痙咳期に入ると検出されにくくなるため、実際には分離同定は困難なことが多くなっています。
測定が主である. 百日咳菌の代表的な抗原は百日咳毒素(pertus- ..
ワクチン接種済みの人が後に百日咳に罹った場合は、未接種者ほどはひどくはありませんが咳が長期に持続することが多く、喘息などと誤って診断されることがあり注意が必要です。また、未治療の成人百日咳患者さんが感染源となり小さいお子さんに百日咳を感染させることが問題となっています。特に小さいお子さんがいる家庭では、「咳だけだから」と放置せず、親御さんも医療機関に受診することが重要です。
百日咳 | 阪大微研のやわらかサイエンス 感染症と免疫のQ&A
百日咳とは、百日咳菌の感染によって起こる急性の呼吸器感染症です。感染力が強く咳やくしゃみによる飛沫(ひまつ)感染や接触感染で広がります。風邪のような症状で始まり、その後せきの回数が増え、短いせきが連続的に起こり、息を吸う時に笛のような「ヒュー」という音が出る特徴的な発作がみられますが、大人では咳は長期間続くものの、典型的な発作性の咳は見られません。
生後6ヶ月以上にはエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌剤(特にカタル.
遺伝子検査は百日咳の病原体診断検査で最も高感度な検査法であり、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法、PCR(polymerase chain reaction)法があります。他の検査方法に比べて極めて迅速に検査結果が得られる利点があります。
普通の風邪薬や抗生物質では効かず、百日咳対する治療(クラリスロマイシン)があります。 RSウイルス感染症
なお、成人の百日咳の場合、咳は長期間続くものの、典型的なけいれん性の咳を示さないことも多く、百日咳と分からずに、周囲に感染を広げるおそれがありますので注意が必要です。
6.百日咳菌は多くの抗菌薬に感受性を示し、抗菌薬投与5日後には生菌の排出が ..
百日咳はこれまで、感染症法に基づいて5類感染症の小児科定点把握の対象疾患に定められ、全国約3000の指定された医療機関には届け出が義務付けられていました。しかし小児科定点にもかかわらず、近年の患者増加の特徴として小学校高学年以上の患者が多くなっており、2016年は小児科定点からの報告ではあるものの15歳以上の報告が全体の25%を占めました。つまり現実には成人の患者が相当いることが推測されたため、2018年1月よりすべての医師が届け出を行う全数把握の対象疾患に変更されました。
かもしれません。 百日咳は百日咳菌によって感染し、特徴的な発作性の咳が出る ..
pertussisは患者の上気道分泌物の飛沫や、直接接触によって感染します。
取り込まれた菌は先ず上気道に至り、更に下気道、小気管支の粘膜上皮または繊毛(せんもう)間で増えていきます。
感染力は麻疹ウイルス並みに強く、免疫のない家族間では、二次発症率が80%を超えるとされています18)。
潜伏期間(未発症期間)は通常7~10日で、次に普通の風邪症状を示すカタル期が1~2週間続きます。さらに乾いた咳と発作性の咳(咳嗽)が特徴の痙咳期が3~6週間続き回復期に至ります2)。
痙咳期の咳嗽がいわゆる百日咳の名の由来となるもので、短い連続した咳嗽(staccato)の後、息を吸い込むときに笛を吹くようなヒューという音(笛声 てきせい:whoop)が出て、これが繰り返されます。
この様に咳嗽発作を繰り返すことをレプリーゼ(reprise:反復)といいます。苦しい咳嗽が続くので、しばしば嘔吐を伴うこともあるようです。
また咳嗽は夜間に多く、何かしらの誘発原因によって咳き込むと、息も詰まることから顔面浮腫や充血、そして最悪の場合は呼吸停止から突然死に至ることもまれにあります。
なお、カタル期に最も多く排菌されるので2)、この期間は二次感染に、特に注意を必要とします。