褐色細胞腫・ パラガングリオーマ 診療ガイドライン 2018


副腎髄質や傍神経節から発生するカテコールアミン産生腫瘍で母地はクロム親和性細胞です。原因として、家族内発症タイプではRET癌遺伝子やVHL癌抑制遺伝子に突然変異が見られるものがあります。高血圧、高血糖、代謝亢進、発汗多量、頭痛などの症状を認めます。診断のための検査としては、血液検査および尿検査でカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)、メタネフリン、ノルメタネフリン、バニリルマンデル酸(VMA)も測定します。本態性高血圧との鑑別のためにα2受容体刺激薬クロニジンを投与してノルアドレナリン分泌を抑制する試験ですが、本態性高血圧であれば抑制されて血圧が低下し、一方低下しなければ本症と言えます。超音波以外にCT、MRIを実施し局在を調べます。131I-MIBGシンチグラフィで集積を見ます。治療としては腫瘍摘出術が第一選択です。開腹手術も多いのですが、血圧コントロールが良好で良性腫瘍と考えられる場合は腹腔鏡下での摘出が勧められます。術前からα1遮断薬やβ遮断薬を投与し血圧調整します。術中の血圧、脈拍、血糖モニターおよびコントロールと術後の低血圧に留意せねばなりません。一方、悪性褐色細胞腫の場合は手術により出来るだけ腫瘍を取り除き、抗癌薬による化学療法、動脈塞栓療法、放射線療法(MIBG内照射療法)など集学的治療を実施いたします。


る患者[褐色細胞腫クリーゼがあらわれることがある。] 重要な基本的注意

8.7. 〈強皮症〉強皮症患者における強皮症腎クリーゼの発現率は、副腎皮質ホルモン剤投与患者で高いとの報告があるので、本剤を強皮症患者に投与する場合は、血圧及び腎機能を慎重にモニターし、強皮症腎クリーゼの徴候や症状の出現に注意すること。また、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

まず腫瘍がホルモン産生能を持つか血液・尿検査を行います。クッシング症候群や原発性アルドステロン症や褐色細胞腫で検査された項目をとります。

褐色細胞腫クリーゼの発現を考慮した上で適切な処置を行う」旨を規定する

8.5. 〈効能共通〉褐色細胞腫の合併を認識していなかった状態でデキサメタゾン製剤(経口剤及び注射剤)を投与した際に褐色細胞腫クリーゼを発現したとの報告がある(本剤投与後に著明な血圧上昇、頭痛、動悸等が認められた場合は、褐色細胞腫クリーゼの発現を考慮した上で適切な処置を行うこと)〔5.効能又は効果に関連する注意の項、9.1.10参照〕。

多発性内分泌腺腫瘍症(MEN)とは、複数の内分泌臓器に腫瘍が生じる病態です。家系内で病気が遺伝することが稀ではありません。タイプとして1型と2型(A、B)に分類されています。多発性内分泌腺腫瘍症1型は、下垂体、副甲状腺、膵臓に腫瘍が発生します。MEN1と名づけられた遺伝子に変異が認められます。多発性内分泌腺腫瘍症2型は、甲状腺、副甲状腺、副腎に腫瘍が発生します。レット(RET)と名づけられた遺伝子に変異が認められます。MEN1では副甲状腺機能亢進症、下垂体腺腫、膵消化管内分泌腫瘍が三大病変で、副腎や皮膚、胸腺などにも腫瘍が発生することがあります。MEN2は甲状腺髄様癌、副腎褐色細胞腫、副甲状腺機能亢進症が三大病変で、MEN2Bでは眼瞼、口唇、舌に粘膜神経腫を合併することがあります。治療としては病変の早期に発見による外科的治療ですが、多臓器にわたる病変で異時性のこともあるため複数回の手術を繰り返す場合もあります。

副腎疾患(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫

原発巣として、肺、腎、胃、大腸、乳腺、悪性黒色腫が多く、両側性にみられることがあります。両側の副腎皮質破壊による副腎皮質機能低下症は,食欲不振・倦怠感・嘔気・低 Na 血症,高 K 血症などを呈することがあります。

したがって、副腎偶発腫瘍は副腎偶発腫のほぼ50%が非機能性腺腫である一方で、まれに副腎皮質癌、髄質(褐色細胞腫)から生じた原発性の悪性腫瘍や転移性腫瘍である可能性があり十分な注意が必要です。

褐色細胞腫の腫瘍は比較的大きくなりやすく、放置すれば突然死の可能性もある病気 ..

日本で行われた3,672症例の副腎偶発腫についての報告(Ueshiba H. Toho J Med, 2021)では、全副腎偶発腫の51%が非機能性腺腫、サブクリニカルクッシング症候群3.6%を含むコルチゾール産生腺腫10.5%、褐色細胞腫が8.5%、アルドステロン産生腺腫が5.1%、過形成4.0%、転移性腫瘍3.8%、骨髄脂肪腫3.6%、嚢胞2.3%、神経節細胞腫1.6%、副腎皮質癌1.4%、アンドロゲン産生腺腫0.2%でした。

後腹膜腫瘍は後腹膜領域(腹部背側)に発生する比較的稀な疾患です。悪性には脂肪肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫などの肉腫、ホルモンを産生する神経節細胞腫(悪性)、悪性リンパ腫等があります。良性では、ホルモンを産生する神経節細胞腫(良性)神経鞘腫、脂肪種、奇形腫などがあります。症状が現れにくく早期発見が困難なことも多いのですが、増大すれば周辺臓器を圧排しいろいろな症状が出現します。超巨大化し体外から腹部腫瘤として触診されることもあります。臨床経過とともに、血液検査、腫瘍マーカー、さらにエコー、CT、MRI、PET、シンチグラム検査等の画像診断を総合的に診断します。診断困難な場合、生検による病理組織診断が必要ですが、身体の奥深くにあるため体表からの生検が困難で、手術による摘出標本の詳細な検討で判明することもあります。治療法は多くの場合手術による摘出です。組織型によっては放射線療法、化学療法を実施する場合もあります。手術については、巨大腫瘍では隣接臓器への浸潤等のため他臓器も合併切除される場合があります。術後は診断結果から必要とされる検査を定期的に行い再発の有無を確認します。


8.5 褐色細胞腫の合併を認識していなかった状態でデキサメタゾン製剤(経口剤及び注射剤)を投与した

動悸があればαblocker開始後にβblockerを使用することもあります。 両側褐色細胞腫の場合,両側副腎をすべて切除するのか,副腎皮質温存を図るのかに関しては、大規模なランダム化比較試験がないため、コンセンサスは得られていません。全摘を行えば生涯を通したステロイド補充が必要となり、部分切除を行えば、再発リスクが上昇するため、腫瘍の位置や個々の転移や再発リスク、遺伝子異常の結果等を考慮して決定することになります。

褐色細胞腫、偶発腫瘍等は全例登録され、これまで多くの日本人の診療エビデンスを ..

褐色細胞腫と確定診断されたら、手術が標準治療となります。術前には十分なαblockerの投与を行いますが、ふらつきがでやすいので、循環血漿量改善を目的に塩分摂取、水分補給に努めてもらいます。それでも症状がある場合は点滴をしながら、αblockerを増量してゆきます。降圧が不十分であれば、Ca blockerなど他の降圧薬を使用することもあります。

クッシング症候群や原発性アルドステロン症や褐色細胞腫で検査された項目をとります。 血液検査

手術困難な転移性褐色細胞腫に対しCVD(シクロホスファミド、ビンクリスチン、ダカルバジン)治療と131I-MIBG療法を考慮します。

褐色細胞腫(および傍神経節腫) 先天性副腎皮質酵素欠損症(○17α⊖水酸化酵素 ..

副腎の病気のうち外科的治療の対象となる腫瘍性のものではホルモンを産生するタイプである(イ)「機能性腫瘍」と産生しない(ロ)「非機能性腫瘍」に大別されます。機能性でも非機能性でも悪性例(副腎癌)は手術適応を考慮しますが、共に悪性例はまれです。(イ)機能性腫瘍は内科的治療抵抗性の場合を含め、それぞれの疾患による多彩な症状(高血圧や糖尿病、電解質異常など)から手術適応を考慮しなければなりません。一方(ロ)非機能性腫瘍は、大きさが大きれば悪性の可能性が高まるため4cm以上を目安として手術を考慮いたします。では腹腔鏡手術を積極的に実施しております。 副腎腫瘍で手術適応となる場合がある主要疾患を以下に示します。

代表的疾患として褐色細胞腫・パラガングリオーマ(PHEO/PGL:PPGL)、クッシング症候群(CS)、

副甲状腺のう胞には2つの種類があります。機能性副甲状腺のう胞と非機能性副甲状腺のう胞です。非機能性副甲状腺のう胞はほとんど症状を認めず、経過観察や内容液の吸引で対応可能な場合がほとんどです。一方機能性副甲状腺のう胞の場合は原発性副甲状腺機能亢進症のようにホルモンが上昇することによる症状発現を認め、諸検査の上手術(摘出)を要することもあります。

デキサメタゾン抑制試験後に高血圧クリーゼをきたした副腎褐色細胞腫

症候性(高血圧あり)は約 65%,無症候性は約 35% で,副腎偶発腫瘍としても発見されます。 副腎外(パラガングリオーマ),両側性,悪性は各々約 10%,家族歴のあるものは約 5% です。遺伝子変異検出率は30~40%程度あり、両側性では遺伝子異常が背景にある症例がほとんどであるとされます。遺伝子型と診断法、予後、治療反応性には関連が認められることから、若年発症(35 歳未満)、多発性、両側性、悪性では家族歴や特徴的な徴候がなくても生殖細胞系列の遺伝子変異の関与が示唆されるため、術前に遺伝学的検査が望まれます。但し、今のところ自費となります。後述する髄様癌の併存があれば、RET遺伝子検査は保険適応となります。

褐色細胞腫:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

頸部の創は非常に目立ちやすく大きな創痕は術後も患者さんを苦しめます。皺のために創痕が目立ちにくい高齢者では、皺に沿うか皺に平行な通常襟状切開(8cm程度)であまり目立つことはないかもしれません。一方、若年者は肌に張りがあり創が目立つ場合が多いものです。手術の整容性(美容面)、低侵襲性、創痛の軽減を考慮して、大阪警察病院内分泌外科では倫理委員会承認のもと内視鏡手術を含めた「小切開手術」に取り組んで参りました。本邦での歴史を辿れば、1998年にVANS法(清水らによる)として主として良性疾患を対象に甲状腺内視鏡手術が始まりました。しかし、実際は甲状腺疾患における手術適応症例はほとんどが悪性例です。悪性例(分化癌)では転移の有無にかかわらず、少なくとも中心領域(左右縦隔)の(予防的)郭清は必要ということが一般的です(ガイドライン)。前胸部、腋窩、乳輪からのアプローチでは良性疾患には対応できますが、十分なリンパ節郭清を必要とする悪性例には不可能です。なぜならばリンパ節郭清をしようと思えば頸部から尾側に向かって視野を作り操作を進めることが必須ですが、前胸部、腋窩、乳輪等からのアプローチでは視野もとれず操作もできないことが明らかであるからです(いずれも頭側方向のみの視野確保となります)。また内視鏡の器具は通常手術の器具や私どもが使用しているマイクロサージェリー用の器具と比較すると非常にお粗末で、反回神経周りの操作など繊細な操作には不向きです。気管浸潤や反回神経浸潤があれば対応できません。またもう一点大きな問題としては郭清や広範囲切除をともなう甲状腺癌の手術では頻度が極めて少ないとはいえ、術後出血や喉頭浮腫という重篤な合併症に備えなければなりません。これらと考えられます。頸部に新たな切開の上に気管切開が必要とされる状況で対応が遅れれば低酸素による脳障害をはじめ致命的な合併症につながる可能性があります。

[PDF] von Hippel-Lindau 病随伴褐色細胞腫の 1 例

8.2. 〈効能共通〉本剤の長期あるいは大量投与中の患者、又は投与中止後6ヵ月以内の患者では、免疫機能が低下していることがあり、生ワクチンの接種により、ワクチン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、これらの患者には生ワクチンを接種しないこと〔11.1.1参照〕。

の作用、さらにラット褐色細胞腫由来 PC12細胞における ATPと nicotineによる[Ca2+]m.

不足している副腎皮質ホルモンの補充となります。主にヒドロコルチゾン15~20㎎/日で補充していきます。続発性でACTHが抑制されず色素沈着がある場合はデキサメタゾン0.5mgを投与する場合もあります。低Na血症、低血圧などが改善なく、鉱質コルチコイドが足りないと考えられる場合はフロリネフ0.05~1mgを併用します。

デキサメタゾン抑制試験の実施に先立ち褐色細胞腫又はパラガングリオーマの合併の有無を確認

慢性甲状腺炎は橋本病とも呼ばれる自己免疫が原因の炎症です。30-40代の女性に多い病気とされます。甲状腺は腫大することが多いですがその程度は様々です。甲状腺機能が正常の場合症状は顕著ではありませんが、20-30%のケースで甲状腺機能が低下し、顔や手足のむくみ、乾燥、体重増加など、特有の症状が出現します。甲状腺ホルモン検査や自己抗体価(抗Tg抗体、抗TPO抗体)、画像診断、穿刺吸引細胞診などにより診断いたします。 甲状腺機能正常では無治療です。甲状腺機能低下があれば甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS®)服用が必要となります。ヨード(海藻類等に含まれる)の採りすぎによる症状増悪に注意します。また喫煙も増悪因子です。甲状腺が異常に腫大して気管を圧迫して呼吸苦が生じ、手術を要するケースも稀にあります。

ことは臨床的には急務である。今回、当院で最近5年間で経験した悪性褐色細胞腫の臨

甲状腺に何らかの原因で炎症が生じ甲状腺ホルモンが血中に漏れ出す状態です。甲状腺が硬くはれ、痛みを生じます。通常自然治癒で再発は珍しいです。原因については鼻やのどの炎症に続いて起こることも多いためウイルス感染の可能性が指摘されています。血液検査上は炎症所見(CRPなど)の上昇を認めます。一過性に甲状腺機能亢進を認めますが、ヨード摂取率の検査等でバセドウ病との鑑別は比較的容易です。投薬が必要なときは副腎皮質ホルモン剤が非常によく効きます。

・プリンペラン(メトクロプラミド)は褐色細胞腫に対して使用禁忌

では頸部に創痕が目立たない「小切開」を置いたうえでの術式工夫により諸問題を克服しました。できます。その開発では一般外科(肝胆膵外科等)での豊富な内視鏡・腹腔鏡手術経験にもとづいています。開発の経緯として、通常手術の創を極限まで小さくしたときに、更に安全性を内視鏡の補助と利点で高める、というコンセプトがあり、最終的にhybrid-type内視鏡手術(HET:Tori法)に辿り着いています。いわゆる「内視鏡手術」というより「小切開手術」のジャンルに該当すると言ってもいい方法がこの「ハイブリッドタイプ」です。本方法の優れている点は、していることにあります。郭清の問題や通常器具を使用することによる気管や周囲臓器への取り残しのない手技(R0)で根治性を担保しています。最近医療事故や拙劣な手術手技による死亡例が問題となっている「内視鏡外科学会認定手技」関連の肝胆膵領域と同レベルに内分泌外科領域手術も本来最高難度領域であり、手術関連合併症&死亡リスクは本来低くないかもしれません。しかし、私どもが目指す「小切開・鏡視下学会」関連手技:HETはまた異なったジャンルとして状況を打開し、難度を下げました。そして、HET:Tori法においては実施した約300例で、との両立をなしえています。またバリエーションとして必要時の次いで対象となる患者さんについてです。「甲状腺癌取扱い規約」では45歳以上がstageI-IVCの6段階の進行度があるのに対して、45歳未満の若年者では予後が良いため肺や骨等の遠隔転移がなければ、仮に局所進行していてもstageIとなります。この観点と、肌に張りがあって皺がなく創部も非常に目立ちやすいという点から45歳未満の方に対して、内視鏡手術の実施を考慮し適応があればお勧めしております(但し、でもご希望の方には相談に応じることにしております)。。95%以上の方が上記創長におさまりますが、体格や病状により若干延長される場合があります。また、術中高度気管浸潤や反回神経再建等のために通常切開にスイッチする可能性があります(2015年2月までの症例において術中術式変更した症例は皆無)。2014年8月以降、厚生労働省認定先進医療A施設として、は悪性対応全国4施設、良性対応全国9施設(2015年2月現在)の中にそれぞれ認定され、再度倫理委員会承認のもと実施しています。