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セフェム系を歯科で処方されるときにはだいたい3日分処方されます。ただでさえ薬剤の効果が届きにくいお口の中で、かつセフェム系は消化管からの吸収が悪いので、3日分では、薬の効果が発揮されるかどうかは疑問です。セフェム系を服用することは無駄でしょう。
[PDF] 歯周病患者における抗菌薬適正使用のガイドライン 2020
セフェム系の抗菌薬は第1世代から第3世代に新しくなるにつれて、グラム陰性菌のカバーが改善される反面、グラム陽性菌のカバーは低下していきます。お口の中の炎症の原因は、グラム陽性のレンサ球菌が50%で残りがグラム陰性菌です。ですから、歯科でセフェム系を使用するのは効率が悪いのです。
日本外来小児科学会、日本感染症学会&日本化学療法学会のガイドラインでは耐性菌の出現リスクを減らすために広域スペクトルをもつセフェム系の抗菌薬よりは狭域スペクトルのペニシリン系を第一選択としています。
ダラシンとアモキシシリンでは、どちらが副作用の重さや、下痢や ..
グラム陽性菌に対する活性はPCGやABPCに比べると若干劣りますが、グラム陰性菌に対する抗菌活性が強くなっています。
Klebsiella、Proteus属の一部、「SPACE」といわれる院内感染で問題になるグラム陰性桿菌(このうちAのアシネトバクターは除く)に活性があります。
歯科でよく使われるフロモックス、メイアクト、セフゾン、トミロンなど第3世代のセフェム系抗菌薬(抗生物質)の問題点を解説します。
サワシリン(アモキシシリン)は術前投与としか使用しません。セフゾンも ..
肺の動静脈瘻(肺動脈と肺静脈の間のシャント)を持つ患者さんは、歯科治療時に予防的抗生物質投与が必要です.同様に、傷を伴う外傷の時も予防的抗生物質投与が必要です.同じように、普段から口腔内の衛生状態を良好に保つ必要があり、歯周病の予防・治療が必要です.
これは抜歯などの治療時に血液中に菌が入り菌血症状態になるからで、通常、菌血症になっても肺がフィルターとなるため、予防的抗生物質投与が無くても大きな問題になることはありません.しかし、肺の動静脈瘻があれば、この部ではフィルターがないために静脈系から動脈系に菌が入り込み、もっとも重症の合併症である脳膿瘍になることがあります.脳以外の部位にも膿瘍を作ることもあります.
いて、クリンダマイシン注射剤は歯科口腔外科領域において標準的療法として推奨されてい
脳膿瘍とは、脳そのものの中に膿が溜まる場合や脳の表面に膿が溜まる場合(硬膜下膿瘍と言います)があり、意識障害、けいれん、半身麻痺などが出現し、致命率も高く、治療を行っても後遺症を残す場合が多いです.これを予防するために、歯科治療時や傷を伴う外傷の時には、予防的抗生物質投与が必要です.
医学的に高いエビデンスがあるわけではないですが、予防的に抗生物質を投与することが奨められます.投与する抗生物質や期間に決まったものはないですが、まず忘れずに、投与するということが大事ですし、期間は治療直前から、数日間もあれば十分でしょう.通常は、アモキシリン(サワシリン)のような抗生剤が選択されますが、より広いスペクトルラムを持つオーグメンチン配合剤のような複合抗生剤も選択されることがあります.ペニシリンにアレルギーがある場合は、クリンダマイシン(ダラシン)が奨められる.
[PDF] 術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン
<感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン>[文献 1]
感染性心内膜炎は、的確な診断のもとで適切な治療が奏功しないと多くの合併症を引き起こし、死に至る重篤な疾患である。多くの場合、何らかの基礎心疾患を有する患者が何らかの原因により菌血症を起こした際に発症し、菌血症を来す原因の多くは歯科治療を含めた小手術である。
そのため、先天性疾患、弁膜疾患を含む感染性心内膜炎の発症が高いとされる患者には、抗菌薬の予防投与が推奨されている。ガイドラインでは、下表の抗菌薬を処置 1 時間前に内服することが推奨されている。
歯科 …………………………………………………………………………………………………………………………52
表.歯科、口腔手技および処置に対する抗菌薬による予防法[文献1]
・アンピシリン(ビクシリン)、アモキシリン(サワシリン)は、酸性で効果を発現するので、制酸剤と併用すると効果が減弱する。 ..
フィリピンの土壌から1952年に発見され、ペニシリン、セフェム系とは異なった化学構造で、抗炎症作用、免疫調節作用など抗菌力以外の作用もあるため、慢性閉塞性肺疾患などにも使用されています。歯科ではクラリスロマイシン(商品名:クラリス他)アジスロマイシン(商品名:ジスロマック他)が処方されることが多いです。マクロライド系は、安全性は高いですが、クラリスロマイシンは肝臓のチトクロームで代謝されるため、同じ部位で代謝される薬剤は併用注意となるために、併用注意薬があります。薬局などでご確認ください。重篤なものは併用禁忌となっています。
なお、クリンダマイシンでは連鎖球菌や⻩⾊ブドウ球菌などの好気性菌のカバーも可能であ
<海外のガイドライン>
アメリカ心臓協会(AHA:American Heart Association)[文献 2]、欧州心臓病学会(ECS:European Society of Cardiology)[文献3]のガイドラインでは、歯科処置時の抗菌薬予防投与の対象症例を人工弁置換術後、感染性心内膜炎の既往例、先天性心疾患(未修復のチアノーゼ性先天性心疾患、術後 6 カ月以内)などに限定している。
[PDF] 医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて
このコーナーでは、薬剤耐性(AMR)対策のさまざまな事例をご紹介しています。第23回で取り上げるのは、東京医科歯科大学病院歯科外来における、薬剤師主導のASP(抗菌薬適正使用支援プログラム)活動についてです。同院薬剤部の沖畠里恵氏は、歯科外来で処方される経口抗菌薬の適正使用に向け、歯科医師に対するフィードバックを行ってきました。活動を始めた経緯や具体的な取り組み、またその成果について、お話を伺いました。
このため、平成16年7月に「審査情報提供検討委員会」、平成23年6月に「審査
アモキシシリンの承認された用法・用量(ピロリ菌除菌を除く感染症:1 回 250 mg を 1 日 3~4 回、ピロリ菌除菌:1 回 750 mg を 1 日 2 回)よりも高用量(1 回 2,000 mg、1 日 1 回)で処方されている。歯科領域における適応外処方(感染性心内膜炎の予防)である可能性が考えられる。
ワイドシリン細粒、サワシリン錠、パセトシン錠、アモキシシリンカプセル、.
インスリンの作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝性疾患群のこと。日本での糖尿病有病者(糖尿病が強く疑われる人)の割合は、男性で19.7%、女性で10.8%である。1型糖尿病は主に自己免疫機序による膵β細胞の破壊によりインスリンが絶対的に欠乏して発症する。一方、2型糖尿病は、自覚症状がないまま徐々に病態が進行し、血糖値やHbA1cの異常が指摘されて初めて診断に至るケースが多い。
糖尿病の合併症として①糖尿病性腎症(人工透析が必要)、②糖尿病性網膜症(失明原因の第1位)、③糖尿病性神経障害(歯科では、麻酔や抜歯後に神経麻痺が起こることがある)、④心筋梗塞、⑤脳梗塞があげられる。
・アモキシシリン(AMPC:サワシリン)1 回 250mg を 1 日 3~4 回。 ☆ペニシリンアレルギーがある場合は
東京医科歯科大学病院薬剤部薬剤主任
1986年星薬科大学衛生薬学科卒業、1987年東京大学医学部附属病院薬剤部、2003年保険薬局管理薬剤師、2004年東京医科歯科大学病院(旧歯学部附属病院)薬剤部に入局し、2012年より現職。
[PDF] ダラシンカプセル75mg ダラシンカプセル150mg
(1)糖尿病患者は易感染性なので、外科処置を行う際には術前に局所の除石処置、消炎処置を行うこと。また、術前2時間前に通常投与量のアモキシシリン(サワシリン等)を投与してもよい。
(2)歯科開業医で外科処置を避けた方が良いケースとしては、①1型糖尿病患者に対する比較的大きな侵襲の観血的処置、②糖尿病治療の中断もしくは治療がなされていない場合、③HbA1cの値が7.0%台なら注意が必要、8.0%台は避けた方が良い。
(3)ニューキノロン抗菌剤(クラビット等)やNSIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤、ロキソプロフェン等)と糖尿病薬のスルホニル尿素薬(アマニール等)を併用すると作用が増強し、低血糖をきたす事がある。
(4)低血糖症の対処法。意識がある場合は砂糖を10gまたはブドウ糖を含むジュース150~200mlを与えるとよい。しかし、歯科開業医で低血糖の判断は難しい。このため、診察時に食事を摂ったかどうかを確認しておくことが大切である。
(5)エピネフリン含有の歯科用カートリッジ麻酔薬の使用について。エピネフリンのβ2作用により肝臓ではグリコーゲンが分解し、嫌気的解糖が進む。その結果、血糖値が上昇するので、糖尿病患者への使用は原則禁忌とされている。しかし、エピネフリンを含まない麻酔薬は効き目が弱い場合が多く、患者は不安や痛みによって体の中でエピネフリン(内因性カテコルアミン)を産生する。この内因性カテコルアミンの量は麻酔薬に含まれているエピネフリンの量の数百倍にあたり、これによって血圧が一気に上昇し脳血管障害を引き起こす危険性がある。エピネフリンを含んだ麻酔薬を糖尿病患者に使用する際には、愛護的にゆっくりと時間をかけて麻酔薬を注入し、薬剤の効果が十分現れるまで5~6分待ってから外科処置を行うのが望ましい。
・過去にダラシンカプセルに含まれる成分やリンコマイシン系抗生物質に対し過 ..
ミノマイシン塩酸塩(商品名:ミノマイシン他)が経口薬として使用されている。歯科では歯周病治療薬として歯科用軟膏が多く使われています。
通常は、アモキシリン(サワシリン)のような抗生剤が選択されますが、より広い ..
愛知学院大学歯学部附属病院では、抜歯後術後感染予防の抗菌剤投与は①サワシリン(アモキシシリン・合成ペニシリン製剤)、②ケフラール(セファクロル・セファム系抗生物質)、③ダラシン(クリンダマイシン・リンコマイシン系抗菌剤)の3剤から選択している。服用後の血中濃度や耐性菌の観点から第三世代セフェム系抗生物質(フロモックス、バナン、メイアクト等)は、術後の感染予防としては投与していない。
ペニシリンにアレルギーがある場合は、クリンダマイシン(ダラシン)が奨められる.
歯科の場合、抜歯や歯科の外科的処置後の感染予防を目的に、経口抗菌薬を外来で使うことが多いです。主な起炎菌は口腔連鎖球菌や嫌気性菌ですが、これらは常在菌で、普通の抜歯程度で感染症を起こすことはありません。ただ、口の中に傷をつける訳ですし、口腔内には腸内細菌も含め多くの常在菌が存在します。「何かあったら困る」というので、「広めのスペクトラムで使いやすい経口抗菌薬を、予防で入れよう」という傾向があります。
医薬品一般名:ロチゴチン経皮吸収型製剤
治療でなく予防で使うことが多いというのは、歯科特有だと思います。歯科全体の抗菌薬使用量は医科に比べれば少なく(図1)、また予防目的なので投与期間も通常は3日前後です。ただ本当に予防が必要な人以外にも、慣習的に処方している部分があるのではないかと考えられます。予防が主なので、起炎菌を調べたりアンチバイオグラムを作成したりといったことはほとんどされません。「予防で使う」は歯科の特徴であり問題でもある、といえるでしょう。