(2) 一晩大量デキサメサゾン抑制試験:前日深夜に大量 (8 mg) のデキサメサゾン


QAけがつくことが多いです.クッシング病で病的肥満症に至ることは比較的まれです.伸展性赤色皮膚線条は1 cm以上の幅があり,また,皮膚の菲薄化は,コルチゾール過剰によって皮膚の透過性が亢進することによる現象です.また,クッシング徴候は,患者さんやその周辺から認識されにくいことも多く,非特異的症候として,高血圧,月経異常,にきび(ざ瘡),多毛,浮腫,糖尿病を含む耐糖能異常,骨粗鬆症,色素沈着,精神障害が医療機関を受診するきっかけになることもあります.サブクリニカルクッシング病(subclinical Cushing disease:SCD)も同じくACTHの自律性分泌による疾病ですが,クッシング徴候を欠き,偶発的下垂体腫瘍の精査の過程で診断されることが多いです.原因を探る.❸ 血中コルチゾールが抑制されず,血中ACTH<10 ng/mLなら,副腎腫瘍によるクッシング症候群を,10 ng/mL以上の場合は,下垂体腫瘍によるクッシング病の可能性を考える.❹ クッシング病が疑われる場合は,3テスラの下垂体造影MRIを施行する.❺ クッシング病が疑われる場合は,前夜の23時にデキサメタゾン(デカドロンⓇ)0.5 mg 1錠を服用してもらい,翌日,朝一番(8時半~9時)で血中コルチゾールを測定する.血中コルチゾール3 μg/dL以上でサブクリニカルクッシング病(SCD),5 μg/dL以上でクッシング病を疑う.クッシング徴候のいずれかがあれば,必ず,朝一番(外来であれば,8時半〜9時)の空腹時採血でACTH,コルチゾールを測定します.最初のスクリーニングでACTH,コルチゾールがともに抑制されている場合は,医原性クッシング症候群と考えて間違いありません.ステロイド薬の服用歴チェックが必要ですが,吸入用ステロイド,蕁麻疹などに処方される,セレスタミンⓇ配合錠の高用量使用が原因のことがあり,患者さんが自覚していないこともあるので要注意です.コルチゾールの抑制がなく,ACTHが10 ng/mLを下回っている場合は,副腎腫瘍によるクッシング症候群を,10 ng/mL以上の場合は,下垂体腫瘍によるクッシング病の可能性を考えます.後者の場合は,下垂体造影MRIをオーダーします.また,ACTHの自律性分泌を証明するために,少量デキサメタゾン抑制試験を行います.前夜の23時にデキサメタゾン(デカドロンⓇ)0.5 mg 1錠を服用してもらい,翌日,朝一番(8時半〜9時)で空腹時採血します.後述の副腎性クッシング症候群の場合はデキサメタゾン1 mgで,クッシング病の場合は偽陰性を避けるため,0.5 mgで抑制試験を行います.デキサメタゾン服用後のコルチゾール5 µg/dL以上であれば,クッシング病と診断します.下垂体腫瘍を認めながら,クッシング徴候を認めないサブクリニカル第2章●視床下部・下垂体疾患32Point❶ まず朝一番(外来なら8時半~9時)の空腹時採血でACTH,コルチゾールを測定する.❷ 血中コルチゾール,ACTHのいずれも抑制されていれば,医原性クッシング症候群のクッシング病の診断までの手順はどのようになりますか.


一晩少量デキサメタゾン抑制試験:前日深夜に少量(0.5mg)のデキサメタゾンを内服した翌朝(8~10時)の血中コルチゾー

中心性肥満(手足は細いのにお腹に脂肪がつく)、満月様顔貌(顔が丸くなる)、野牛肩(背中の上部に脂肪がつく)、皮膚がうすくなる、腹部の赤色皮膚線条(赤い筋ができる)、体幹に近い部分の筋力低下、皮下溢血が特徴的な徴候です。このほかに、血糖値や血圧、コレステロールの上昇、骨粗鬆症、月経異常、うつ症状、感染症なども起こします。

ACTHやコルチゾールは朝に最も高くなり、夜間は低くなるため、朝・夕方・寝る前に血液検査を行い、24時間尿中コルチゾール測定やホルモンの動きを確認します。また、寝る前に「デキサメタゾン」というコルチゾールの作用をもった薬を内服し、翌朝には採血を行い、血液中にコルチゾールが足りている状態でも副腎が必要以上にコルチゾールを分泌するかを確認します。

次に、副腎のCT検査で腫瘍の確認を行い、その腫瘍がホルモンを分泌しているかどうかを確認するため、「副腎皮質シンチグラフィ(131I-アドステロール)」という検査を行います。下垂体腫瘍が原因と言われているクッシング病が疑われる場合は、下垂体のMRIで腫瘍の確認を行い、その腫瘍がホルモンを分泌しているかどうかを確認するため、「下錐体静脈洞(かすいたいじょうみゃくどう)サンプリング」というカテーテルの検査を行います。クッシング病では下垂体腫瘍が小さく、特定できないこともあります。

その他、原因に応じて必要な検査を行います。

1mgデキサメタゾン抑制試験(1mgDST)における負荷後血中コルチゾール濃度(1mgDST-F)

クッシング症候群は手術での腫瘍摘出が第一の治療となります。副腎の良性腫瘍によるクッシング症候群は手術で根治が期待できます。副腎は左右に一つずつあり、片方を摘出し、もう片方の副腎がホルモン分泌を行いますが、その機能が十分になるまで手術後6カ月から1年以上はかかるため、その間は内服でホルモンを補います。手術後、満月様顔貌や中心性肥満などの症状は徐々に改善しますが、骨粗鬆症は完全には回復しないこともあります。

両側副腎の腫瘍や、下垂体腫瘍が小さく特定できないなど、「手術で取りきれない場合」や「手術を行うのが難しい場合」は、コルチゾールの合成を阻害する内服薬で治療する方法もあります。特徴的な徴候がみられない「サブクリニカルクッシング症候群」については、合併症に応じて手術を行うかどうかを判断します。

クッシング症候群を放置すると、重篤な感染症や心血管疾患のリスクが上がり、寿命が短縮すると言われています。「食事量は変わらないのに体重が増えてきた」や「手足はやせるのにお腹周りに脂肪がつく」といった症状のある方は、ぜひ当科にご相談ください。

副腎の良性腫瘍やがん、結節性過形成(けっせつせいかけいせい)、ACTHを過剰に分泌する「下垂体腫瘍(かすいたいしゅよう:内分泌に関わる下垂体と呼ばれる器官のなかで、その前葉と呼ばれる部分から発生する腫瘍)」「肺がん」などが原因として考えられます。また、コルチゾールと同様の作用をもつ薬剤によってクッシング症候群でみられる身体的徴候が起こることもあります。副腎腫瘍や結節性過形成の主な原因は、「遺伝子の変異が一部ある」と指摘されています。

クッシング症候群、デキサメタゾン抑制試験についてまとめました#病態・薬物治療#クッシング症候群#デキサメタゾン抑制試験.

糖尿病・内分泌・代謝内科は、糖尿病、高血圧など皆様に身近な生活習慣病から、1型糖尿病、副腎などの内分泌病、家族性高コレステロール血症などの遺伝病など、高度な専門性を必要とする病気まで幅広く対応しています。私たちのモットーは、目先の病気を治すことだけでなく、心臓、脳の病気、認知症、がんなどの予防医療に注力し、皆様と一緒に健康長寿、一病息災に取り組むことにあります。かかりつけ医師とご相談のうえ、今の病気の状態を一度見直してみませんか。

デキサメタゾン抑制試験は、クッシング症候群(「」の項参照)が疑われた場合に行う検査で、デキサメタゾン(商品名:デカドロン)は副腎(腎臓の上にある小さな内分泌臓器)で作られるコルチゾールの作用を強力にした内服薬です。

合はコルチゾール同時産生の評価のためデキサメタゾン抑制試験を実施する。手術を考慮する場合は片側性 PA の確実な診断のた

副腎におけるコルチゾールは、下垂体(かすいたい)から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の指令に従って作られています。そして、ACTHとコルチゾールは早朝から午前中にかけて高値ですが、夕方から夜間は低値となり1日の中でも時間による変動(日内変動)があります。本検査でデカドロン®を内服すると、翌朝の血液中のACTH濃度は正常の場合にはほぼ完全に低下して、副腎への指令がなくなるために、副腎で作られるコルチゾール濃度も非常に低い値となります。しかし、クッシング症候群では、デカドロン®によりACTHを低下させても、副腎腫瘍からは依然としてコルチゾールが作られるために、翌朝の血中コルチゾール濃度が高い値となることで診断しています。

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副腎腫瘍がある場合、コルチゾールの同時産生の有無を調べるため追加で検査(1mgデキサメタゾン抑制試験)を行います。 病型・局在診断

クッシング症候群は、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)との関連で、ACTH依存性と非依存性に分類される。
ACTH依存性には、クッシング病(下垂体腺腫からのACTH過剰分泌)、異所性ACTH産生腫瘍(肺小細胞、胸腺腫など)などが含まれる。
非ACTH依存性は、医原性(投与)や副腎腫瘍(副腎腺腫95%、副腎がん5%)が多いが、その他のまれな原因として、副腎過形成などが含まれる。

候群を疑い、デキサメタゾン抑制試験を行います。デキサメタゾン抑制試験は

主にコルチゾールの過剰分泌による症状が認められる。ACTH依存性クッシング症候群、副腎がんではアンドロゲン過剰による症状も伴う。
・中心性肥満:と体幹部は肥満し、四肢は細いのが特徴。バッファローハンプ(水牛様脂肪沈着)
・症状:皮膚線条、皮膚脆弱性
・・骨症状:筋力低下、骨粗しょう症、脊椎圧迫骨折、
・循環器症状:、下腿浮腫
・性腺症状:月経異常、男性化症状

1mg デキサメタゾン抑制試験の結果は傾向として高値であり(図 5 A)、腫瘍径

クッシング症候群が疑われる場合には0.5~1mgの低用量デキサメタゾン抑制試験を行う。血中コルチゾール値が以下に抑制されない場合にクッシング症候群の診断となる。その後に病型分類のために、各種負荷試験、画像検査(CT/MRI、副腎皮質シンチグラフィなど)を行う。負荷試験には、デキサメタゾン抑制試験、CRH試験、DDAVP試験などが含まれる。ACTH、コルチゾール、尿中17-OHCSなどを測定する。

ゾン抑制試験は、液体クロマトグラフィー・タンデム型質量分析法を用いた

原因に応じて治療方法は異なる。原則、腫瘍は手術もしくは治療により治療する。

① CRH 試験においてヒト CRH(100µg)静注後の血中 ACTH 頂値が前値の 1.5 倍以上に増加

正常な低下反応の判定は、低用量の場合はコルチゾール濃度<3μg/dl、高用量の場合はコルチゾール濃度<1μg/dlで低下反応あり(正常)と判定します。ただし、クッシング症候群の最終的な判定は他の検査も踏まえて総合的に決定します。

・デキサメタゾン抑制試験は、「クッシング症候群」などが疑われた ..

○ 概要

1.概要
下垂体から分泌されるADH、ACTH、TSH、GH、LH、FSH、PRLの単独ないし複数のホルモン分泌障害あるいは分泌亢進により、主として末梢ホルモン欠乏あるいは過剰による多彩な症状を呈する疾患である。病因は、下垂体自体の障害と、下垂体ホルモンの分泌を制御する視床下部の障害及び両者を連結する下垂体茎部の障害に分類される。実際は障害部位が複数の領域にまたがっていることも多い。
全ての前葉ホルモン分泌が障害されているものを汎下垂体機能低下症、複数のホルモンが種々の程度に障害されているものを複合型下垂体機能低下症と呼ぶ。また、単一のホルモンのみが欠損するものは、単独欠損症と呼ばれる。一方、分泌亢進は通常単独のホルモンのみとなる。

2.原因
汎ないし部分型下垂体機能低下症では、脳・下垂体領域の器質的疾患、特に腫瘍(下垂体腫瘍、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍など)、炎症性疾患(肉芽腫性疾患としてサルコイドーシス、IgG4関連疾患など、自己免疫性炎症性疾患としてリンパ球性下垂体炎など)、外傷・手術によるものが最も多い。分娩時大出血に伴う下垂体梗塞(シーハン症候群)の頻度は低下している。一方、単独欠損症はGHやACTHに多く、前者では出産時の児のトラブル(骨盤位分娩など)が、後者では自己免疫機序の関与が示唆されている。さらに抗PIT-1下垂体炎(抗PIT-1抗体症候群)など自己免疫で複合型の下垂体機能低下症をきたすこともある。まれに遺伝子異常に起因する例があり、POU1F1PIT1; TSH、GH、PRL複合欠損)、PROP1(TSH、GH、PRL、LH、FSH複合欠損)、TPIT(ACTH)、GH1GHRHR(GH)などが知られている。カルマン(Kallmann)症候群の原因遺伝子であるANOS1KAL1)などの異常はLH、FSH欠損による先天性性腺機能低下症の原因となる。近年、頭部外傷、くも膜下出血後、小児がん経験者においても下垂体機能低下症を認めることが報告されている。
また、分泌亢進症に関しては、腺腫、上位の視床下部における調節機能異常などが挙げられる。

3.症状
欠損あるいは過剰となるホルモンの種類により多彩な症状を呈する。

4.治療法
基礎疾患に対する治療
原因となっている腫瘍性ないし炎症性疾患が存在する場合は、正確な診断のもとに、各々の疾患に対し、手術や薬物療法、放射線療法などの適切な治療法を選択する。
ホルモン欠乏に対する治療
下垂体機能低下症に対しては、欠乏するホルモンの種類や程度に応じたホルモン補充療法が行われる。下垂体ホルモンはペプチドないし糖蛋白ホルモンのため、経口で投与しても無効である。このため、通常、各ホルモンの制御下にある末梢ホルモンを投与する。GHやFSHのように、遺伝子組み換えホルモン等を注射で投与する場合もある。

以下に、ホルモンごとの補充療法の概略を示す。

を疑う場合、少量デキサメサゾン抑制試験(Dexamethasone Supression

クッシング症候群は,副腎皮質に発生する腫瘍からの慢性的なコルチゾールの過剰産生をきたす疾患で,手術による治癒が可能な内分泌性高血圧である。

サメタゾン抑制試験を行います。PDH と AT の鑑別のために画像診断(特に超音波検査)、

スクリーニングは,24時間尿中遊離コルチゾール高値,夜間血清コルチゾール濃度>5μg/dL,デキサメタゾン1mg抑制試験(>5μg/dL)により行う()1)~3)

ACTH負荷試験は内分泌学領域における数多い負荷試験の一つであり,副腎皮質の予備能をみるための重要な検査である.

外因性糖質コルチコイド治療による医原性クッシング症候群が多いので,詳細な問診により除外する。

[PDF] 副腎性潜在性クッシング症候群:病態、成因、臨床的意義と新診断基準

高血圧の患者さんの約90%は原因が1つに特定できず、ストレス、肥満、塩分過多、遺伝的要素、その他の要因が複合的に影響して起こる高血圧で「本態性高血圧」と呼ばれます。残り約10%の患者さんは原因が特定できる高血圧で「二次性高血圧」と呼ばれます。二次性高血圧の原因の1つが原発性アルドステロン症で、全高血圧例の約5%に見られるとされています(文献1)。特に治療抵抗性高血圧や若年性高血圧の方に多く見られます。この病気は本態性高血圧に比べて脳卒中、心肥大、心房細動、冠動脈疾患、心不全、慢性腎臓病、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの発症・合併リスクが明らかに高いと報告されています(文献2、3、4)。原発性アルドステロン症は、適切に診断されないまま本態性高血圧として治療されているケースが多く、早期発見と適切な治療が重要です。

[PDF] クッシング病の診断の手引き(平成21年度改訂) 1

原発性アルドステロン症は、副腎に発生する腫瘍(ほとんどは良性の腫瘍=腺腫)や両側副腎皮質過形成が原因でアルドステロンという血圧調節ホルモンが過剰に分泌される病気です。アルドステロンは副腎で作られ、ナトリウムと水の再吸収を促進し、血圧と水分量を適切な状態に調整するホルモンです。アルドステロンが過剰になると血圧が上がり過ぎて高血圧になります。またアルドステロンはカリウムの排出を増加させるため、低カリウム血症を引き起こすことがあります。ただしカリウム値が正常の症例も多く、低カリウム血症の有無だけでは原発性アルドステロン症と本態性高血圧を区別するのは困難です。

を内服した翌朝(8-10 時)の血中コルチゾール値が前値の半分以下に抑制され

原発性アルドステロン症の主な症状は高血圧であり、3種類以上の降圧剤を内服しても血圧が下がりにくい方(治療抵抗性高血圧)が多いです。また、低カリウム血症によって筋力低下や疲労感、不整脈が現れることがありますが、無症状の方が多いのが特徴です。